“蜘蛛”ノ為二 ページ32
団長の後に続いて歩くこと数分。着いたのは小さな廃れた教会。
中に入れば外見を裏切る事なく中も見事にボロボロ
乱暴に割られた様な穴が開いている窓
埃をかぶったままの椅子
傾いた大きな十字架
“人に忘れ去られた場所”
この教会を表すならその言葉が一番しっくりくるだろう
団長は迷うことなく祭壇の方に向かうとその裏側を指差して何かを示している
僕も祭壇に近づき団長の指が指し示す方に目を向ければそこには地下へと続く階段が隠されていた
クロロ「この奥だ」
そう言って入っていく団長
数秒遅れて僕も中に入っていった
貴女「これは…」
奥について僕は驚愕する
そこにあったものはたくさんの“赤い目”
専用の容器に一つ一つ丁寧に保存されている“赤い目”が僕と団長をじっと見つめている
いや、赤という色では不似合いだ
ならこの色は…？
クロロ「…“緋の目”」
頭の中で思考していると団長が答えてくれた
貴女「“緋の目”？」
クロロ「あぁ。これはこの世界で唯一クルタ族だけがもっている特殊な目だ。
彼らの目は基本鳶色。だが感情が激しく突き動かされた時のみこの“緋色の目”になる。
これは世界七大美色にも数えられるほど美しいもの。だがそれ故に狙うものも多い。勿論オレもその中の１人だった
数ヶ月前“緋の目”を欲したオレは蜘蛛のメンバーと共にクルタ族からこの目を奪った。住民から一つ残らず全部な」
自分の欲のために一つの民族を滅ぼしたというのか
欲しいものは全て掻っ攫うのが“蜘蛛”のやり方
邪魔するものは“死”あるのみ
＿＿怖い
怖くて体が震える
僕は震えを抑えるように自分で自分の体を抱き締めた
クロロ「怖いのか」
隣に立つ団長が僕を一切見ずに問いかけてくる
貴女「…怖いですよ。自分の欲を満たす為なら手段を選ばない貴方達がすごく怖い。
だけど、それでも一緒にいたいと思っている僕自身が一番怖いです。」
僕も団長の方は見ずに震える声で答えた
クロロ「ならずっと蜘蛛にいればいい。」
その言葉の後に僕はドサッと音を立てて団長に床に押し倒された
彼の黒い瞳がまた僕を捕らえる
クロロ「どこにも行かず元の世界に帰る事も逃げ出すことも許さない。たとえ逃げてもどこまでも追いかけて捕まえる。
Aはもうオレ達“蜘蛛”のモノだ。
“蜘蛛”の為に戦い “蜘蛛”の為に生き
そして“蜘蛛”の為にその命を差し出せ」
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作者名：アメ太 | 作成日時：2017年11月16日 11時
