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21話 ページ23

 


 
 
「なんで、って…」
 

 
 
なんでアイツらは良くて俺はダメなのか、なんて
 
答えは一つしかないじゃないか。

 

 
 
「倉持には、彼女がいるから」
 

 
「だから何でそれが理由になるんだっつってんだよ」

 

 
 
どうしよう。

 
 
何でか分からないけど、今の倉持、ものすごく聞き分けが悪い。

 

おまけにものすごく顔が怖い。彼女にその顔見せてみろ、確実に泣かれるぞ。


 
 
 
 

 
私は倉持の彼女の内村さんみたいに小柄じゃないから、倉持との身長差は10センチ程。

 
 
壁側に追い込まれ、かつ両腕で逃げないように横を固定される所謂壁ドンのような体勢では倉持の顔を、息を、すぐ近くに感じてしまう。


 
 
 
好きな人にこんな風にされて、ドキドキしないわけでもない。


 
だけどそれは一瞬で、すぐに「倉持は好意を持ってこんなことをしてるんじゃない、自惚れるな」と思い直して、冷静になる。


 
 
 

そうだ、………そうなんだよ。

 
 
私は倉持のことが好きだけど、倉持の好きな子は私じゃない。



 
 

だから、もう決めたんだ。

 
 
倉持の幸せをただ願うんだって。


 
例え倉持の隣に居られるのが、自分じゃないとしても。




 
わざと明るい声を作ると、私は言った。


 

「もしかしたら " 他の女の子と仲良くしてほしくない " って、内村さんが思うかもしれないでしょ?
 
だから、倉持のお願いには答えられない」

 
 
 
そう言うと倉持は短い眉を寄せて、苦虫を潰したような顔をした。


そしてその顔のまま、ポツリと呟く。




 
「………そんなの、」


「え?」


 
倉持は私の顔の横辺りに置いていた手を強く握る。
 
拳となったそれは爪が食い込むのではないかという程に力が込められ、やがて私を囲うようにしていた両腕は脱力した。


 


「…………何でもねぇ」
 
 

 
尚も握った拳に力を込めながら、何かを堪えるように倉持は言った。



 
 
「……じゃあ、私はこれで」


 
 
囲いから解放され自由の身になり、倉持の横を通り過ぎる。


 
 
 
そのまま私が下の階へ繋がる階段を降りている時も、倉持はまだ眉間に皺を寄せて強く拳を握っていた。



 
 
 

 

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マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです 丹波さん好きだけど小説無いんで (2020年8月15日 17時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マカロニ | 作成日時:2020年7月24日 12時

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