22話 ページ23
その日の夜、鶴蝶は渡されたUSBメモリーにあるデータを目を通そうとしていた。
開こうとしたファイル名は
「
「……それくらい読める」
クリックすると、そこには大量のファイルが並んでいた。
この10年間の記録。スクロールしていくと最後に「詳細」と書かれたファイルがあった。
それを開くと、一目でわかる成果が記されている。
“好きに選んで”
裏切るのか、従うのか、そういうことだろう。
鶴蝶は目を伏せ、10年前のあの日を振り返り
そして__決めた。
・
・
・
『どうするか、決めた?』
「あぁ」
翌日、屋上で風に当たっているAの元を訪ねた。
いつものように真っ直ぐ合う目
だが、知った今ではそれが妙に恐ろしく見える。
「アンタに従う。裏切りもしない、データは返す。
10年前の誓い通り、オレなりに最後まで役目を果たす」
『うん。ありがとう』
そうして、微笑むAは昔と
「…無理に、昔みたいに笑う必要ないじゃないか?
蘭たちもアンタらしくいる方がきっといいはずだ」
『……ヤダ。だってあんな私見たくないでしょ
それに、みんなに辛そうな顔もうさせたくないの』
“死ぬよ。サウス”
思い出すと、今でも鳥肌が立つ。
この世界で生きて何年も立つのに、あの恐怖の感覚が残っている。
『それに、この方が色々都合がいい
三途春千夜を制しやすいから。可哀想だけど』
その時、突風がふいた。
言葉は冷たく鋭いのに、裏腹にAの表情が曇っているのを、鶴蝶は見てしまった。
だからまた、こう訪ねる。
「本当にいいのか、殺して」
『…また?いいよ、決めたことだから』
「アンタが天竺に来たのは、オレたちと三途を守るためだったはずだ。そこまでした奴の処理に肯定するとは思えな__『いいの!!!』
Aは声を荒らげると、その場に座り込んだ。
顔を隠すようにして、弱々しく『……もう、決めたことだから』と呟いた。
『……康宏は、春千夜に殺されたの』
「…………は、、サンズが……?」
『でも、それをさせてしまったのは私のせいだった。
酷いこと言って傷つけたの、守るために』
“姉御にとって、オレらはその程度の存在でしたか”
“それ以外に何があるの。くだらない”
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為人(プロフ) - ふらんそわ。さん» ありがとうございます´`* 頑張ります (2022年1月16日 21時) (レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんそわ。 - 面白いです‼︎続き気になるッ…‼︎‼︎ (2022年1月15日 0時) (レス) id: 149dedba41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:為人 x他1人 | 作成日時:2021年10月31日 23時