神様は知っている 〜探偵チームＫｚ事件ノート〜

ここ ページ48

三人称だけど少女目線



ここは、どこ………？

私は、誰？

真っ暗な闇。

手を伸ばす。

目の前の空間が揺れたように感じるが、それまでだ。自分の体さえ、見えない。

完全な闇とは、このことなのだろう。

誰も、いないの？

何かを呼ぼうとして、口を開く。

「み…」

しかし、言葉は途中で、止まった。

私は、だれを呼ぼうとしているの？

反射的に出てきた、「み」という言葉。

これは、何…？

口をおさえた。

「み…ん…」

言葉が、続かない。

「みん」？何、それ？

分からない。

頭に浮かぶのは、疑問ばかりだ。

ここは、どこ？

私は、誰？

私は何故、ここにいるの？

私は何故、何も覚えていないの？

私はどうなっているの？

私は何者なの？

「みん」…って、誰なの？

何も、分からない。

少女は、へたり込んだ。

冷たい足元。

その冷たさが、なぜだか心地よく感じられる。

足元に寝転がる。

上を見ても、何があるかは分からない。

寝返りを打てば、奈落の底に落ちるかもしれない。

手を伸ばせば、何かに噛みつかれるかもしれない。

しかし、そんなことは、どうでもよかった。

さっきまでは不気味だったこの闇が、今はなぜか友達のように感じられる。

「よろしくね。」

ここは、気持ちいい。

いつまでも、ここにいたい。

何もしたくない。ただ、ここにいたいのだ。

自分が何者かなんて、些細なことだ。

もう、何も考えたくない。

ただ安らかに、ここで眠りたい………。

少女は、瞼を閉じた。

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