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愛してあげる ページ33

もう一度、背を向けて歩き出す。

すると、背後で、声がした。

「俺は、君の全てを包み込んであげるよ?

ぴたっ

思わず、足が止まった。

「君の全てを理解する。君に、寂しい想いなんてさせない。」

「………。」

無言で、振り返った。

住野は、さっきまでの怒りの表情はどこへやら、にやりと笑みを浮かべている。

近づいてきて、彩の肩に優しく手をのせ、耳元でつぶやいた。

「…君、両親が離婚したんでしょ?」
「………!」

どうして、それを…。

誰にも、言ってないのに。

「俺、妹がいるんだよな。小2の妹。意味、分かる?」

…まさか。

「…奈子に」
「ビンゴ。」

指を鳴らす住野。

「住野梨香子って、知ってるかって、聞いてみ?たぶん、きまり悪そうにするぜ。何しろ、両親が離婚したって言っちゃダメっていうお姉ちゃんとの約束を破った、唯一の相手だからさ。」
「あなた…妹を使って…。」

言葉が、続かない。

代わりに、言い訳めいたことを呟いた。

「…別に、離婚したわけじゃない。お母さんが一方的に出て行っただけよ。」

そうだ。そうなんだ。絶対に、そうだ…。

住野は、今までの脅すような口調とは打って変わって、優しく頷いた。

彩の瞳を、じっと見つめる。彩は、金縛りにあったように、動けなくなった。

「そうだよな。分かるよ、その気持ちは。辛いよなあ。」
「そう…辛い…。」

まるで操られるように、言葉を繰り返す。

「誰にも愛されない。両親は、自分の事なんか考えてもくれない。だれも、自分のことを愛してくれない…。」
「誰も…私を…。」

虚ろな目の彩。

その様子を見て、住野は、口元をキュッと釣り上げた。

「いや、違う。俺だけが、君を愛する。俺が、君の傍にいる。絶対に、君を守る…。」
「住野君…。」

そっと、住野の顔を見つめた。

優しく微笑む住野。彩の肩に置いていた手を放し、代わりに、彩の手を握った。

「愛するよ、彩。…俺と、付き合う?」

その声は、付き合わないのなら愛さない、とはっきり言っていた。



彩は、ゆっくりと、頷いた………。

疲れた→←住野優?



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ひかり(プロフ) - はじめまして。ひかりといいます。前々から何回も読ませてもらっています!表現がとてもきれいで大好きです。私も最近2次創作を書き始めたのですが、そんなにうまくは行きません。尊敬です!! (2020年8月25日 18時) (レス) id: 4da98787a4 (このIDを非表示/違反報告)
nonoka(プロフ) - 読み進めるうちにどんどん涙が溢れて止まりませんでした。完結編も読ませていただきます。 (2018年4月5日 22時) (レス) id: 43665d2016 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェル - アーヤ、七鬼君じゃなくて忍って呼んでいますよ? (2018年4月4日 19時) (レス) id: 674d35aaa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェル - ページ一枚目の若武の漢字が若竹になっていましたよ。あ、若武の武が竹になっていたと言うことです。 (2018年4月4日 19時) (レス) id: 674d35aaa1 (このIDを非表示/違反報告)
Ryu'zyu♭ - すごく悲しくなって、涙が出そうになりました(泣) (2018年2月7日 17時) (レス) id: 049c72f8cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花畑 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年4月9日 18時

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