住野優？ ページ32
三人称だけど彩目線
「さようならっ！」
その言葉と共に、一斉に教室から流れ出る生徒たち。
その波に紛れこみ、彩は靴箱に降りて行った。
靴を出し、上靴を脱ぐ。
ひらっ
何かが、靴箱の中から落ちた。
身を屈め、拾い上げる。
「手紙…？」
真っ白な封筒。「立花彩さんへ」とだけ書かれている。
ぺりぺり、とシールをはがし、中に入った紙を開いた。
「体育館裏に来てください。 住野 優」
住野優…
ぼんやりとした頭で、その名の主を考え込む。
そうだ…3組の、住野優君。女子の間で人気がある、住野優君だ。
背は少し高く、美門ほどではないが整った顔立ち。運動神経も悪くなく、ある程度モテる。
性格は、よく知らない。同じクラスになったことなど、一度もない。名前を知っているぐらいだ。
「住野君が、私に何の用だろう…。」
考え込みながら、体育館裏まで歩いた。
「あ、立花さん。」
「住野君？」
「感激だな。俺のこと、覚えていてくれたんだ。」
整った顔立ちを見せびらかすように、前髪を書き上げる住野。
その計算仕切ったような仕草に、なぜだか彩はイラッとした。
住野の傍まで歩み寄りながら、聞いた。
「覚えてくれていたって？」
「俺、この前、図書館であったろ？君と。ほら、君の落とした図鑑を拾ってあげたじゃん。」
ああ……。
思い出した。
確かに、彩は一度、住野とほんの少しだが喋ったことがある。
しかし、完っ全に忘れていた。
「あの…話って？」
さっさと終わらしてくれないかな、と言いた気に、住野を見上げる彩。
「そうそう。君、俺と付き合わない？」
………
「は？」
「だから、俺と付き合おうよ。」
………は？
今度は言葉に出さずとも、心の中で、もう一度同じ言葉を繰り返した。
彩は、本気か、こいつ。というように、住野の顔をまじまじと見る。
その表情は、「君に、俺と付き合える権利を与えよう。」と語っていた。
「…結構ですっ！！」
背を向け、肩を怒らせて歩き出す彩。
来て、損をした。無駄な時間を使ってしまった。
「おっ、おい。待てよっ！」
住野の声が聞こえるが、気にも留めずに歩き続ける。
「待てって言ってんだろっ！」
肩をつかまれた。強引に、後ろを向かされる。
後ろにいたのは、顔を真っ赤にさせて鬼のような形相をした住野だった。
「なんで、断るわけ？俺が、付き合ってあげるって言ってんのに。」
…とんでもないナルシストだ。
「結・構・です。」
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ひかり(プロフ) - はじめまして。ひかりといいます。前々から何回も読ませてもらっています！表現がとてもきれいで大好きです。私も最近2次創作を書き始めたのですが、そんなにうまくは行きません。尊敬です！！ (2020年8月25日 18時) (
レス) id: 4da98787a4 (このIDを非表示/違反報告)
nonoka(プロフ) - 読み進めるうちにどんどん涙が溢れて止まりませんでした。完結編も読ませていただきます。 (2018年4月5日 22時) (レス) id: 43665d2016 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェル - アーヤ、七鬼君じゃなくて忍って呼んでいますよ？ (2018年4月4日 19時) (レス) id: 674d35aaa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェル - ページ一枚目の若武の漢字が若竹になっていましたよ。あ、若武の武が竹になっていたと言うことです。 (2018年4月4日 19時) (レス) id: 674d35aaa1 (このIDを非表示/違反報告)
Ryu'zyu♭ - すごく悲しくなって、涙が出そうになりました(泣) (2018年2月7日 17時) (レス) id: 049c72f8cd (このIDを非表示/違反報告)
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