私がお母さん ページ14
卵を焼いている間に、パンをトースト。
パンが焼きあがると、その上に目玉焼きをのせていく。
まな板と包丁を出し、野菜を切っていく。サラダを作るのだ。
いつも、母が作っているメニュー。
「それで、勉強は学校だけにして、秀明は辞めろっていうんでしょ?分かってるから。」
「彩………。」
優しく微笑む娘の姿を見て、父は目を見開いた。
いつの間に、娘はこんなに成長したんだろう。
優しくなったんだろう。
忍耐強くなったんだろう。
それに比べ、自分は………。
「彩……すまない。」
気を取り直すと、奈子を抱き上げ、ドアの外側に立たせる。
「危ないから、ちょっとそこで待っていなさい。」
いそいそと食器の破片を片付け始める父。
ずっと呆然としていた奈子。やっと状況が掴めたのか、その丸い目にみるみると涙がたまっていく。
「奈子…………。」
彩は、ソッとキッチンを離れると、奈子を抱きしめた。
「奈子。今日からは、私がお母さんだよ。」
「お姉ちゃん………っ!!」
「まったく………お母さんだって、言ってるじゃない。」
泣きじゃくる奈子の背中を、彩は優しく撫でた。
自分が黒木にされたように。
黒木君………皆………
ごめんね………
以前の事件の時、探偵チームKzは、秀明生じゃなくともメンバーに入れる、という決まりを作った。
だが、彩には分かっていた。秀明を辞め家事づくめの日々になれば、当然ながら、探偵チームの活動などできないことに。
Kzを………辞める。
「彩。明日、秀明に退塾届を出してくれ。」
「ん………。」
(小塚君に、集合、かけてもらおう………。)
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ひかり(プロフ) - はじめまして。ひかりといいます。前々から何回も読ませてもらっています!表現がとてもきれいで大好きです。私も最近2次創作を書き始めたのですが、そんなにうまくは行きません。尊敬です!! (2020年8月25日 18時) (レス) id: 4da98787a4 (このIDを非表示/違反報告)
nonoka(プロフ) - 読み進めるうちにどんどん涙が溢れて止まりませんでした。完結編も読ませていただきます。 (2018年4月5日 22時) (レス) id: 43665d2016 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェル - アーヤ、七鬼君じゃなくて忍って呼んでいますよ? (2018年4月4日 19時) (レス) id: 674d35aaa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェル - ページ一枚目の若武の漢字が若竹になっていましたよ。あ、若武の武が竹になっていたと言うことです。 (2018年4月4日 19時) (レス) id: 674d35aaa1 (このIDを非表示/違反報告)
Ryu'zyu♭ - すごく悲しくなって、涙が出そうになりました(泣) (2018年2月7日 17時) (レス) id: 049c72f8cd (このIDを非表示/違反報告)
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