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今日は桐絵ちゃんと買い物に出かけていた。必要なものなどを買い足すためだ。部屋は綺麗なままとは言え、残っていた服は5年も前のものだったから。買い物に行こうと誘ってくれたのは桐絵ちゃんだった。桐絵ちゃんは私の事を良く慕ってくれている。可愛い妹のような存在だ。
「桐絵ちゃんももう高校生か……2年生なんだね」
「そうよ、もう子供じゃないんだから」
私が知っている頃の桐絵ちゃんよりずっと立派に成長していて5年の歳月を否が応でも感じる。時折その5年の歳月に少しだけ寂しさを突きつけられるような気がしていた。それは私の存在しない時間。
Aさん、とショップバッグを揺らしながら隣を歩く桐絵ちゃんが私に声をかけた。
「今度の臨時入隊式出るでしょ。けどAさんの実力はもうA級みたいなもんじゃない。飛び級とか出来ないわけ？」
そもそも除隊っていうのが気に入らないのよ、と桐絵ちゃんは小さく愚痴を続けている。きっと彼女は私のことを思ってそう言ってくれている。そんな優しい彼女がとても愛おしく思う。
「うーん……まあ実際、A級とかB級とか、ちゃんと戦ったことがないし、自分がどのレベルが分からないから」
困ったようにそう言えば桐絵ちゃんは口をへの字に曲げて不服そうな顔をした。
「絶対A級よ！入隊式で目立つのが目に見えてるわ！」
迅のサイドエフェクト並に分かるんだから、と自信満々に胸を張る。その期待はありがたいものだったけれど私には少し荷が重かった。
「ありがとう、けど私はあんまり目立ちたくないから……ゆっくり上がっていくよ」
「え！なんで！」
「手を抜くわけじゃないけど、他の人からしたらあまり面白い話じゃないでしょう？それに、三雲くん達みたいに遠征を狙ってるわけじゃないから……」
これは少し狡い言い方だと自分でも分かっていた。5年前、自らの意思で近界に残った。だからこそ私が近界に行くことはきっと桐絵ちゃんにとって、いい印象はないと分かっていたから。
桐絵ちゃんは私のその狡い意思を察したんだろう。少し悲しそうに眉を寄せる。それでもそれを払うように桐絵ちゃんは声を張った。
「私、待ってたんだから。ずっとAさんのこと。またあの時みたいに一緒に……」
早く隣に立ってほしい、そう訴えるような目をしていた。
もう分かっていた。彼女はとても強くて、私なんかよりずっと立派にボーダーをしている。ありがとう、大丈夫だよ。私の呟いた言葉に桐絵ちゃんは小さく頷いた。
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鏡 - なぎささん» なぎささんコメントありがとうございます！好きと言って頂けるだけでありがたいのに5回も読み直して頂けるなんて恐縮です…！本当に本当にありがとうございます！嬉しすぎて泣きそうです…不定期更新でご迷惑お掛けしますがこれからも頑張りますね！ (2022年10月1日 20時) (
レス) @page49 id: 79e67df0bc (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説が好きすぎて5回は読み直しました...これからも応援しております🥳ご無理のない程度に頑張ってください！ (2022年9月30日 20時) (レス) @page48 id: 0fe7f18098 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - 璃々さん» コメントありがとうございます！手探りで進めているようなお話ですが面白いと言って頂けて本当に嬉しいです！続きも待ってくださるなんて本当に嬉しすぎて転げ回っております…本当に励みになりました！不定期更新で申し訳ないですがこれからも更新頑張りますね！ (2022年7月30日 0時) (レス) id: e6b083c4a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - コメント失礼します！近界から帰ってくるっていう新しいタイプのお話ですごく面白いです！！！夢主の実力がどのくらいかとかほんとに気になって仕方ないです…続き楽しみに待ってます！頑張ってください!!! (2022年7月29日 19時) (レス) @page31 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - ゆん。さん» コメントありがとうございます！世界観にハマるだなんてとてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます！私もゆん。様のお言葉に励まされ飛び上がって喜んでおります…！これからもちょこちょこ更新しますのでどうぞよろしくお願い致します！ (2022年7月15日 12時) (レス) id: d84ec32568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡 | 作成日時：2022年6月30日 2時
