16話 ページ18
「カゲさん、ちゃんと歩けるんで、離せ下さい。」
「ああ、歩くならちゃんと歩け」
「否、そっちがずっと引きずってたんでしょ。」
あー、服が汚れた。ヤダヤダ。埃が付く。
ランク戦か…カゲさんとやるのは久しぶりだな。
カゲさんは私のライトニングを使う戦法もマンティスを使うってこともSEがあるってことも知ってるからやりやすい。非公開にしてもらえるし。
何も考えずに好きなように戦える。
まだカゲさんには4勝までしか勝ててない。
5勝目への1勝が大きくてなかなか超えられない。
今日こそは5勝…行けるか？
否、でもまず4勝できなくなってるかも…？
「カゲさん、今日私、カゲさんに5勝できると思います？というか4勝保てると思います？」
「さぁな、知るかンなもん。さっさとブース入れこっちで指名する」
「ラジャ」
カゲさんがブースに入ったのを確認してから自分もカゲさんの入ったブースの２つ横に入ろうと足を進める。
「あ！あの時俺に勝った人だ！」
「え？」
そう叫んで走ってきたのは緑川駿。
「おー、どうしたどうした」
「迅さんでも見つけたかー？」
「いずみん先輩によねやん先輩！早く早く！この人が前話した俺のことライトニングで倒した人！」
えぇ。そんなA級3バカに話しているとは思わなかったよ緑川駿。
自分の負けをそんな堂々と話すだなんて解せぬ。
「おーこいつがその？槍バカ、お前知ってる？」
「俺も知らない…
と、思うじゃん？知ってるんだなーこれが。」
「え、マジ？お前知ってんの？」
「よねやん先輩知り合いなの‼じゃあなんでこんな強い人紹介してくれなかったの⁉」
あのー、そろそろそんなに大声で私を囲んで話すのやめてもらえませんかね…
ただでさえA級3バカが集まってるってだけで注目されるのに…
しかし私には黙っている以外の道はない。逆に動けば余計目立つということを私は経験から知っている。
「おいおい緑川、早とちりするな。俺は知り合いだって言ったんじゃなくて一方的に存在を知ってるってだけだぜ？SEが発覚した弓儷紳犂の事を。だろ？」
ああバレてた。どうすっかな…
ーーー
ランク戦が公開か非公開か設定できるって言うのは作者のご都合主義で勝手に決めさせていただきました。公式ではないのであまり深く突っ込まないでください…汗
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作者名：那佳 | 作成日時：2019年5月7日 7時
