刀剣乱舞粟田口の長女、弐 (ページ19)

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紫苑本丸の物語ページ19

紫苑本丸の陸奥守side
初めは、わしと前田しかおらん本丸やった。
そこから仲間が段々と増えていった。
時々主は短刀らを見て酷く悲しそうな顔をした。
何でかと聞いたら
主「実は、昔子供を亡くしていてね。彼らを見ると無意識に重ねてしまうんだ」
と、悲しそうな顔で笑った。

主がこの本丸の審神者になって四十年になった。
今はもう、白髪しかない。
主「陸奥がこの本丸の初期刀で本当に良かった」
陸奥守「な、なんじゃあ。嬉しいこと言うてくれるのう！」
主「陸奥、私がいなくなったら、みんなの事頼んだよ」
陸奥守「ほがなこと言わんでくれ・・・」
主「大分お爺さんになったからね。少なからず、その日は近づいているんだよ」

翌年

主「陸奥、お茶にしないか？」
陸奥守「お、ええのう！」
主から湯呑みを受け取ろうとした。
ガシャンと、湯呑みが割れる音。
陸奥守「主？」
主が消えた。
ふとあの言葉が頭を過る。
主「陸奥、私がいなくなったら、みんなの事頼んだよ」
こがな別れ方するとは思わんかった。
みんなが広間に集まってこれからどうするか話し合っちょったら
暁「失礼します。政府役員の暁です。審神者様が消えた、と報告を受けました」
政府役員が調査に来た。
なんの異常もなかったらしい。
その役員が数日後、主を助けられるかもしれん、と言った。
暁「審神者様は時間遡行軍に拐かされた可能性があるようです。協力していただけますか？」
陸奥守「もちろんじゃ！わしに出来ることはなんだってする！」

前田「陸奥守さん？」
陸奥守「おお、すまん。どういた、前田」
前田「いえ、ボーッとしておられたので」
陸奥守「昔のこと思い出しとった。懐かしいのぅ。初めはわしとおんしだけじゃった」
前田「はい。そこから兄弟がたくさん来て、仲間が増えて」
陸奥守「誰一人として欠けたことがなかった」
前田「主君は、僕たちを大切に扱ってくれました」
陸奥守「おん。あの本丸には主が必要じゃ。行くぜよ、みんな！」
転送ゲートをくぐった。

紫苑本丸第一部隊
隊長:陸奥守吉行
隊員:前田藤四郎
　 :平野藤四郎
　 :肥前忠広
　 :南海太郎朝尊
　 :一期一振