その娘、怪盗につき。

裏の裏は表。5 ページ29

「さすがにこんな警備の中でダイヤに手を出そうとは思わないので…」



金庫の周りをぐるりと取り囲む警備体制にも驚いたが、金庫の内側にまで色々な細工がされていた。
ダイヤの入手難易度は最初に比べかなり上がったようだ。



「今回だけは特別にセキュリティを解いて中を見せてやってもいいぞ、どうせ盗られやせんのだからな！」



銭形は自慢げにダイヤのケースに手をかけようとした。






「そこまでだ！！」





金庫内に響き渡る声。
放送を介して聞こえる、この場にいるはずの人物の声。




「残念だったなルパン、わしに化けたところでそのダイヤは盗めんぞ！」



ガシャン、と音がして天井から鉄格子が落ちてきた。
簡易的な牢に閉じ込められたAと銭形。




「あーらら、とっつぁんにしちゃ我慢が利いた方だな？」



「黙れ黙れ！今回の作戦は偽の情報を流してノコノコと出てきた貴様を逮捕するというわしとICPO長官の完璧な作成なのだ！」



Aの隣にいる銭形はいつの間にか顔がルパンになっていた。足元には変装用のマスクが落ちている。



「しっかし、そーやって作戦内容ベラベラ喋っちゃうのがとっつぁんの悪い癖よ？」



Aは何となく状況が飲み込めつつあるが、姿を見せないと思っていたルパンは最初から彼女と一緒にいて行動を共にしていたということになる。別に正体ぐらい彼女に明かしてくれてもいいのではないかと思った。




「俺様がなんにも考えずにここまで来たと思ってんのかよ、ちゃーんとわかった上で来てますよ？事件の裏を取りつつな ま、その辺の解説についてはこの怪盗探偵黒猫ちゃんにしてもらいましょうっかね？」




悪戯な笑みを浮かべたルパンは無茶苦茶な事を言いながらどこから取り出したのかAに猫耳と尻尾と肉球付き手袋を装着。最後に「はいこれ持ってー」と虫眼鏡を渡してきた。



「ハッハッハ、何をほざこうと貴様らは袋のネズミだ！大人しく留置所に「そうはいかねえぜ、俺様とAちゃんがなんの為にICPOにわざわざ出向いたか知りたいだろ？」



これだよ、とルパンが取り出した物は超小型プラスチック爆弾。



「これをICPO館内にくまなく設置してきたのよ、俺様達にちょっとでも何かしようもんならここがドカーンって寸法よ」



「ぐぬぬ」



「…警備隊銃をおろせ！職員の避難を最優先とする！」



警部の悔しそうな声とその後ろから長官だろうか？指示を出す声が聞こえる。

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