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44:あの頃から ページ44
―桃井side―
長い夏休みが終わり、新学期が始まった。
大学に行く途中、テツ君に会った。
今日は朝からラッキー♪
どうやって話しかけようか？
後ろから声をかけてビックリさせようか？
ルンルンで歩いていたけれど
私の目論見は粉々に打ち砕かれた。
彼はじっと静かに前を歩く
赤司君とAを見ていたのだ。
凄く愛おしそうに、そして苦しそうに。
いつからだろうか
彼を見るのが怖くなったのは…
中学の頃からずっと見てきた
彼は真っ直ぐでひた向きに生きる君が好きだった。
物語のヒロインはいつもハッピーエンド
私の恋物語は何故だろう、一向に叶わない気がする。
そんな事を考えていると後ろから頭を小突かれた。
黄｢朝から何しょぼくれた顔してんッスか｣
桃｢べ、別にそんな顔してないもん！｣
黄｢桃っちはいつも通りでいいんスよ！｣
行って来いッス！
と背中を押され、私はまた前に進む事が出来た――
のは良いのだけれど
もう一度、前を見るとテツ君の姿はなく
いつの間にか学校に着いていた。
はぁ・・・
私は時折、きーちゃんに相談した。
彼はただひたすら私の話を聞いてくれた。
いつもは｢うん｣とか｢それで？｣とか
そんな事しか言わないのに
この前話した時は
｢俺も気持ちわかるッスよ｣
と少し悲しそうな顔をしていた。
彼の中でもなにかあったのだろう。
でも、私はそれから彼の話を聞く事は出来なかった。
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作者名：杠 | 作成日時：2012年12月26日 22時
