【 d ! 】暖かい。【短編集】 (ページ8)

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赤ページ8

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「……何してんの。」

『…見れば分かりますよね？』

寝ぼけ眼を擦り擦りやってきたのは、濃い隈をつけたトントンさん。

「……飛び降り…？」

ぽやん、という印象で言葉を発したトントンさん。

だんだんとその目が見開かれていく。

「えっ、ちょ、早まらんで！
な、何があったんか聞かせてくれへんか。」

その問いに、目を合わせずに答える。

『好きだったんです。
すごく、すごく。
でも、あっちはそうじゃなかったみたい。』

"馬鹿ですよね"なんて言って笑う。

いつもいつも、報われない。

「……馬鹿なんかやないやろ。
好きなんやったら期待するんは当たり前やで。」

思っていたよりしっかりした声が返ってくる。

『……私、普通で、いられてますかね。』

へらっと笑う。

涙が頬を伝った。

「……かわええ。」

『………え、っ。』

ボソッと聞こえた声に耳を疑う間も無く、トントンさんの手によって、柵の内側に引っ張り込まれる。

『＿＿＿＿＿…、』

唇が重なる。

誰の？

私と、トントンさん。

「……眠気、覚めてもうたわ。」

そう言って笑ったトントンさんが、酷く、愛おしく思えたのは、きっと気のせいなんかじゃなくて。

"二人は何処まで堕ちるのか、"

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