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昼休みの時間。

お昼を食べて、ただただぼうっとするだけ。

それだけの時間が、どうしてこんなにも長いのだろうか。

鞄の中から昼食のパイを、もさもさと(かじ)る。

口の中が乾いて、水を入れた水筒を一気に(あお)ると、

多少ぬるんではいるが、ひやりとした感触が、咽喉の中からおなかの方に伝っていった。

ほう、と息をつくと、口の中は幾分か潤っていた。

もう一口水を飲もうとしたところ。

「わっ!!」

と後から大きな声を上げられ、同時に背中に軽い衝撃が走った。

琉美は驚いて、危うく水筒を落としかけた。

「どうだ、驚いた?」

そう言って笑いかけてくる、吊り気味の目元の少女。

翡翠のような色合いの瞳が感情豊かに、くりくりと輝いている。

「お、驚きましたとも、エルナトさん……。」

琉美はバクバクとうるさく鳴る心臓を押さえながら、息を吐いた。

今、軽い悪戯を仕掛けてきた少女、エルナトは、琉美にとっては、憧れの存在だ。

快活な性格、自信たっぷりの振る舞い、自分の正義を貫き通そうとする勇敢さ。

まるで、本に出てきた、少女騎士のような。

「いやー、いつ驚かしても、なかなかいい反応だな!」

「ははは……ビビリなだけですよ。」

琉美は苦笑いで、楽しそうなエルナトにそう返す。

「もう、もっとミアは自信持てって!あたしらは正義を執行する魔法少女なんだから!」

エルナトにバンバンと背中を叩かれ、琉美は若干、咽ながらも笑った。

彼女といると、悩みは一時的にどこかへいなくなるのだ。

こんな人になりたいな。

そう思いながら、琉美は残り少なくなった昼休みの時間を、エルナトと共に、

菓子をつまみながら過ごした。

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設定タグ:魔法少女は星に詠う   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ゆずぽん(プロフ) - 実麗@受験生(建前)さん» あああ、ありがとうございます!そう言っていただけると幸いです……! (2017年11月26日 22時) (レス) id: 557f97ce01 (このIDを非表示/違反報告)
実麗@受験生(建前)(プロフ) - ゆずぽんさん» いえいえ!格好いいアクションシーンに一役買えただけでも嬉しいですし (2017年11月26日 18時) (レス) id: 58144b90d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぽん(プロフ) - 実麗@今年の誕プレは9mm口径モデルガンだったさん» ありがとうございます!折角貸してくださったのに、出番少なくてすみません・・・・・・。 (2017年11月26日 17時) (レス) id: b5c0886d76 (このIDを非表示/違反報告)
実麗@今年の誕プレは9mm口径モデルガンだった(プロフ) - 完結おめでとうございます!アンタレスを使って頂いてありがとうございました〜*^^* (2017年11月26日 9時) (レス) id: 80fcad1283 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぽん(プロフ) - ありがとうございます!使わせていただきます! (2017年11月11日 20時) (レス) id: b5c0886d76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆずぽん | 作成日時:2017年9月13日 0時

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