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11節目 ※ややグロテスク注意※ ページ12

帰り道、寄り道なんてしなければ良かったのかもしれない。

ベリーの樽漬けを買って帰ろうと寄った、少し大きめの農家の集落。

ぐちゃり、ぐちゃり、と粘着質で嫌な音が響いている。

まわりは酷く血なまぐさくて、吐き気がする程だ。

琉美がたどり着いたときには既にこの惨劇は始まっていて、住民の何人かは〈星の闇〉に飲まれ、

手足と翼が歪に生えた肉塊と成り果てていた。

必死になって生き残った住民をかき集め、集落の外へ誘導し、他の魔法少女の応援を頼んだ。

今、琉美はそれを背にしてバケモノと向き合っていた。

魔法少女は、普通の人間とは異なって、変身さえしていれば、

身体能力が常人のそれとは比べ物にならないほどに跳ね上がっている。

バケモノの一匹や二匹は、何とかなるだろう。

そう、一匹や二匹なら。

しかし相手方もそこまで優しいはずもなく、琉美がここにたどり着くまでに、

集落の住民は、ゆうに20人以上、バケモノに変えられていた。

一対多数。多勢に無勢。その上、琉美の魔法は、攻撃力が著しく低い。

武器である水鉄砲を取り出す。代えの水はそこそこの量を持ち歩いている。

仕掛けの毒は既に水の中に入っている。

(せめて、誰かが来るまで。)

誰かが来るまで、時間を稼ぐ。バケモノたちに、彼らを追わせないために。

出来るの?

はく、と口が空気を漏らした。

(出来るの?私なんかが?誰かが、来るまで?それっていつ?そもそもこんな数を相手に?)

ぐるぐると頭をまわる言葉に、行動を阻害される。

水鉄砲を構えた手が、酷く震えていた。

「貴方になんてできるわけないじゃない。だって貴方は、あの少女騎士サマでも、

 正義の魔法少女サマでもなくて、ただの、臆病者の、ヒトゴロシなんだから。」

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設定タグ:魔法少女は星に詠う   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ゆずぽん(プロフ) - 実麗@受験生(建前)さん» あああ、ありがとうございます!そう言っていただけると幸いです……! (2017年11月26日 22時) (レス) id: 557f97ce01 (このIDを非表示/違反報告)
実麗@受験生(建前)(プロフ) - ゆずぽんさん» いえいえ!格好いいアクションシーンに一役買えただけでも嬉しいですし (2017年11月26日 18時) (レス) id: 58144b90d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぽん(プロフ) - 実麗@今年の誕プレは9mm口径モデルガンだったさん» ありがとうございます!折角貸してくださったのに、出番少なくてすみません・・・・・・。 (2017年11月26日 17時) (レス) id: b5c0886d76 (このIDを非表示/違反報告)
実麗@今年の誕プレは9mm口径モデルガンだった(プロフ) - 完結おめでとうございます!アンタレスを使って頂いてありがとうございました〜*^^* (2017年11月26日 9時) (レス) id: 80fcad1283 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぽん(プロフ) - ありがとうございます!使わせていただきます! (2017年11月11日 20時) (レス) id: b5c0886d76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆずぽん | 作成日時:2017年9月13日 0時

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