さて、これからどうするか ページ31
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自分で自分の事が分からないらしい。
可愛らしい様な呆れる様な気持ちになる。
Aは今まで自分自身に興味が無かったんだろう。自分に対して無知すぎるきらいがある。
男である俺が一から教えてやるってのも乙なもんだが、それも限度がある。
こいつ…いや、碓氷姉弟は今まで寂しい家庭環境だったらしい。
両親は海外を飛び回り、最初は祖母の家に居たらしいがそこを出て二人暮し。真澄の野郎もこの劇団に入り、結局姉のAは一人暮らし。
以前、アイツらの父親の秘書が来た時は驚いたもんだ。
Aの場合は成人していたこともあって、断るかと思ったんだがな。留学すると言い出して困ったもんだ。
なんだかんだいって上手く収まったから良いか。
あの真澄が親に対して怖いと思うきっかけになった小学生の頃の話。随分と寂しい思いをしたと真澄本人はしていたが、Aはそんな事すら思わなかったらしい。親と弟との板挟みで精神が擦り切れてしまったんだろう。
器用なんだか不器用なんだか分かんねぇな。
Aは俺に似ている。
だから待たれる側より待つ側だ。
アイツも俺も待つ側同士だが、アイツは俺よりも重篤だ。
だから本来待つ側の俺は待たれる側になっちまった。
人間誰しも必要とされたい、認めてもらいたい承認欲求がある。だが、アイツはそれが丸々抜け落ちてたらしい。
どうでもいい。興味が無い。と突っぱねて。
そうしてアイツは自分を守ってきた筈だ。
だが、色々な事情とタイミングの良さで、ここに来ちまった。
運の尽きだ。
Aはここで過ごしてる内に無くしちまったもんを見つけたらしい。
その気持ちは痛い程分かる。
なんだかんだ言って、居心地が良い。誰にも言わないが。
摂津に説教をしたり、
兵頭に助言をしたり、
七尾の相手をしたり、
伏見に相談されたり、
監督さんの面倒みたり、
極道者の俺にも対等に接して来る奴ら。
正気の沙汰じゃないが、こいつらに必要とされると心のどこかで安心する。
それを、Aも感じたんだろう。
俺も毎日逢ってその内の2日は泊まってはいるが、それ以外は基本的にA一人だけの生活だ。
寂しい思いをさせていた自覚はあった。
俺にも責任がある。
どうするべきか。
監督の部屋で生活させるにしたって子供が生まれりゃあうるさくて監督さんも寝られないだろう。
だからといって監督さんを男共の部屋にやったら真澄のやつも煩い。
まあ、俺だけで考えてもしょうがねぇか。
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勘久朗 - 左京さんをパパにして至さんを弟にして真澄を彼氏にしたい。 (2019年11月15日 23時) (レス) id: 9175532e2c (このIDを非表示/違反報告)
勘久朗 - ヤバイ・・・好き・・・吐血する・・・真澄も左京もかっこよすぎ・・・真澄も左京も純愛・・・嫁にしたい・・・てか至さんの世話したい・・・(通常運転) (2019年11月15日 23時) (レス) id: 9175532e2c (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 「解釈の一致」ってこういう事なんだなって思いました。尊いおぶ尊い。最高です。そして秋組もかわいい。読んでて心がきゅんきゅんしました。ありがとうございます。 (2019年3月19日 3時) (レス) id: ee1f3c5304 (このIDを非表示/違反報告)
しゆにだ(プロフ) - あぁ、左京さんとこんな恋したい。パパほしい。ほんとに夢のようだった ありがとうございました!!これからも頑張ってください! (2019年1月16日 21時) (レス) id: cc0fafd6d2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきゆき - 左京さんの優しさとかっこよさ、満開カンパニーのみんなの優しさが伝わってくる小説でした!更新頑張ってください!応援してます! (2018年11月28日 1時) (レス) id: 07636e0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡椒 | 作成日時:2018年4月22日 1時