慰めの言葉１１ ページ14
「それじゃ、行ってくるわ。」
「あ、待ってエリスちゃん！！
はぐれちゃいけない、私と手を繋ごう！」
「否よ！！寧ろ少し離れて歩いて。」
「え…エリスちゃあああん……。」
そんなやり取りをしながら、首領とエリス嬢はショッピングへ出掛けられた。
お帰りになるまでに首領のメンタルはボロボロだろうから、今夜は慰めて差し上げなくては。
お見送りを終え、休憩所へ向かう。
勿論、休憩する為では無い。掃除をする為だ。
「あ、Aさん！お掃除ですか？」
「はい。樋口様のお邪魔は致しませんので、どうぞごゆっくりなさって下さい。」
「いやいや…。私、今から野暮用があるので…。」
樋口様は俯いてしまわれた。
どうしたのかと覗き込んでみれば、深刻なお顔をされていた。
「…もしかして、芥川様絡みですか？」
「っ、はい。…最近、先輩様子がおかしくて。
ちょっと目を離すとふらふらと何処かへ行ってしまうんです。
毎回、私が探し出す前に帰って来るんですけど。」
「ほう…。
芥川様も独りの時間が欲しいのかもしれませんね。」
私が云うと、樋口様はふうと息を吐かれた。
そして顔をあげると、私ににっこりと笑って見せた。
「そうですね。私、先輩に付きまといすぎかもしれません。
Aさん、お忙しい中すみません。
お掃除、頑張って下さいね！！此れ、ほんの少しですが。」
樋口様は持っていた小さな紙袋を差し出された。
おずおずと受け取ると、ほんのりと甘い香りがした。
「其れ、昨日私と妹が焼いたクッキーです。
残りなんで、形が歪で申し訳ないのですが…。」
「形なんて気にしませんよ。有難うございます。」
私が微笑むと、樋口様はえへへと照れたように笑った。
軽く私に会釈すると、エレベータの中へと消えて行った。
もしかしたら、と私は手に持った可愛らしい紙袋を見つめる。
このクッキーは、芥川様に渡すものだったのではないか。
「なんだか…悪いことをしてしまいましたかね。」
そう呟いた声が、誰もいない休憩所に響いた。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月25日 1時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
巫子(プロフ) - とても面白いお話ですね！『やめないか。』が『やらないか。』に見えました！←どうでもいい (2018年1月3日 20時) (レス) id: 343e14107c (このIDを非表示/違反報告)
アメヲト - おおおっ！戻って下さり本当にうれしいです♪ (2017年2月14日 21時) (レス) id: dfeb66c68a (このIDを非表示/違反報告)
唯 - お久しぶりです！！ (2017年2月14日 17時) (レス) id: 80ca6023d8 (このIDを非表示/違反報告)
カヤ猫 - 面白かったです！今後森さんとどうなるかが気になります。更新頑張ってください。 (2017年2月12日 19時) (レス) id: 30c508f23e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚澤 | 作成日時：2017年1月12日 23時
