慰めの言葉１０ ページ13
芥川様が任務報告の為、首領室へいらっしゃった。
私は部屋の後方、扉付近で待機している。
「ご苦労。随分と早く片付けてくれて助かったよ。
今後の働きにも期待しているよ。」
「はい。
…首領、一つよろしいですか。」
「なんだね。」
徐に芥川様が此方を振り返る。
そして私を真っ直ぐに指さした。
「あやつは一体、何者なのです。
此のポートマフィアという組織の中で、担う責務は何なのですか。」
「A君かい？
本人に聞いてみればいいじゃないか。」
「僕が問うても当人は答えようとしません。
故に、首領に訊ねているのです。」
そういえば何時だったか、訊ねられたことがあった。
芥川様の眼差しは鋭く、はぐらかしたところで無駄であることを物語っていた。
「うーん…。何者なのかは私にも判らないな。
最初こそ役職はあったけど、今では曖昧だね。」
「なッ！？」
芥川様は大きく目を見開かれた。
首領は続ける。
「Aは、この組織内の人間だったら知らない者はいない。
けれど、Aの実態は誰一人として知らない。
私だって例外では無いさ。」
「………そのような者を傍に置いているのですか。」
突如、黒い影が私の喉元に突き付けられた。
芥川様が異能を発動したのだ。
「はけ。貴様は…何者なのだ！」
芥川様の声が首領室に響く。
「やめないか。
どうしてそれ程Aの存在意義に執着する？
AはA。此れで、いいじゃないか。」
首領の声は殺気立っていた。
喉元の黒い影が消えていく。
其れと同時に、芥川様が扉に向かって歩き出した。
私が扉を開くと、鋭い目つきで睨まれた。
「失礼致しました。」
一言告げると足早に首領室を後にしてしまった。
私は力が抜けてしまい、その場に座り込む。
いつの間にやら首領が傍に立っており、私に手を差し伸べてくださった。
その手にすがるように、己の手をのばす。
「…昔を思い出すね。
君はそうやって、私を縋り付くような眼差しで見つめていた。」
「…そうですね。」
首領も私も、暫く感慨に浸っていた。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月25日 1時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
巫子(プロフ) - とても面白いお話ですね！『やめないか。』が『やらないか。』に見えました！←どうでもいい (2018年1月3日 20時) (レス) id: 343e14107c (このIDを非表示/違反報告)
アメヲト - おおおっ！戻って下さり本当にうれしいです♪ (2017年2月14日 21時) (レス) id: dfeb66c68a (このIDを非表示/違反報告)
唯 - お久しぶりです！！ (2017年2月14日 17時) (レス) id: 80ca6023d8 (このIDを非表示/違反報告)
カヤ猫 - 面白かったです！今後森さんとどうなるかが気になります。更新頑張ってください。 (2017年2月12日 19時) (レス) id: 30c508f23e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚澤 | 作成日時：2017年1月12日 23時
