【好きな人がいること】海に揺られる恋心 part１

夏向の隣 ページ24

走りにくい浴衣と下駄。


そんなの気にしないでSeaSonsについて


ながーい階段を駆け登っていく。


『はぁっ……はぁっ……』


息が切れて苦しい…。


やっとの思いで階段を登り切り


テラス席に向かうと……


『夏向……』


1人で花火を見ている夏向がいた。


『夏向！』


夏向「は……」


呼びかけると驚いたような顔でこっちを見て固まった。


夏向「なんでここに…」


『………夏向と花火みたかったから』


夏向「そ」


相変わらずのそっけなさ…。


と思いつつも夏向の隣に行く。


夏向「…思ってたよりいいんじゃね」


『へ？』


夏向「だから…思ってたよりいいんじゃね、浴衣」


『っ……ありがと…』


言われると思ってもいなかった言葉。


『ふふっ…』


嬉しすぎて笑みがこぼれてしまった。


『綺麗だね…』


夏向「…うん」


夏向の隣。


昔はほとんど私がいた。


でも今日は夏向の隣に私がいる事が


すごく…嬉しかった。


ピロンッ


そんな時響いた携帯のメール音。


夏向「ごめん…行くわ」


『え…どこに？』


夏向「…アイツんとこ」


私はその言葉を聞き走り出そうとした夏向の手を


掴んでしまった。


『好き……だから行かないで…』

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