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それっきり言葉を発する事なく
手を握ったまま俯いた藤ヶ谷


静かな空間だけど気まずさや、もどかしさはなくこのまま時間が止まってしまってもいい程に心地よい


改めて藤ヶ谷とこうして二人っきりで過ごす時間は久しぶりで
お互いの関係性は昔と変わったけど
根本の部分は変わってなくて
俺の居場所は藤ヶ谷の隣だし
藤ヶ谷の居場所も俺の隣なんだと思う



「きたやま…」

「ん?なに?」

「北山はさ、デビューするの怖くない?」



今までキス.マイとして7人でデビューする為にガムシャラに仕事をしてきたから
デビュー後の事なんてあまり深く考えていなかった


目指していたゴールが目の前に現れて
嬉しい気持ちである事に変わりはないけれど
少し前から感じていた違和感
藤ヶ谷との関係が変わってしまう事が
何よりも怖いと思った



「俺は……」



藤ヶ谷が俺から離れて行ってしまう事が怖い

もうこれ以上、俺から離れて行かないで
声を側で聞いていたい
横顔を側で見ていたい
温もりを側で感じたい
これからもずっと隣にいさせて欲しい

藤ヶ谷への想いが次から次へと溢れて来る


俺を真っ直ぐに捕らえた藤ヶ谷の瞳から目が逸らせなかった



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作者名:ゆうにゃん | 作成日時:2019年8月23日 23時

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