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第四話目 「苦記」<クキ> ページ5

「…そうだったのか。すまない、忘れる」


 「ううん、全然いいんだ。それより、ここって【あんていく】だよね」


 「…あぁ、ここが安全だと思って運んできた。……少し頬が熱いようだが」







 頬に触れる氷也の手が少し冷たく、気持ちよかった


 今更気づいた。自分のおでこにも何かが乗っかっていた


 おそらく、濡れた布か何かだろう。少しだけ熱でもあったのだろうか


 また迷惑をかけてしまったかな。早めにここを去ろう







 「…さっき芳村がお前の手当てをしてくれた。足は大丈夫か?」


 「…………ん。………手、ほっぺに置いて。気持ちいいから…」


 「…そうか。触ってるだけでいいんだな」


 「……うん」







 氷也は頬を包むようにして触れてくる


 冷たくて、細長く骨ばった大きな手


 冷たくても安心するのは、他人の存在を実感してるからなのかな


 触れている手にすりつく様にして、頬を寄せる







 「………氷……也…ぁ……………」







 弱弱しい声で、少しだけ声を口の端から漏らす








 「…此処にいる。疲れてるなら無理するな」







 触れている手が、優しく頬をなでる






 「………」


 「…友人、か」







 呟く氷也の声で、目を閉じた









 「…………んぁ、ふわぁ……」







 気がつけば、窓からは明るい光が射していた


 あれから一日寝てしまったらしい


 ぼんやりとする思考で、部屋を見渡しながら起き上る







 「…ひょぉ…やぁ………?」


 「…なんだ」


 「うゎ…!なんだ、隣で寝てたの…………」


 「…あぁ」


 「……」


 「……」


 「…ん?隣?」


 「…俺はここにいるが」







 ………………







 「………昨日、何かあったっけ」


 「……お前が寝て、俺も眠くなったから隣に寝た」


 「…そう」







 変なことをされたわけではなかったみたい


 一瞬何があったか気になったけど







 「……さっき、芳村が来て皆に顔を見せてやってくれとか言ってたぞ」


 「…店長が?………でもなるべく早く此処を出ないと…」


 「……少しくらいはいいんじゃないか?…俺もたまには顔をださないといけない」


 「…そう、かな………。…一応、挨拶だけしとく、よ」







 あんまり乗り気ではないけど…

第五話 「記憶」<オモイデ>→←第三話目 「新友」



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設定タグ:ボロ猫 , 依存病 , 東京グール   
作品ジャンル:アニメ
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ボロ猫+鈴猫(プロフ) - K・Mさん» `・ω・ありがとうございますっ!!頑張らさせていただきます! (2015年10月13日 22時) (レス) id: 7338c6477a (このIDを非表示/違反報告)
K・M - 続き気になります。更新頑張ってください! (2015年10月12日 16時) (レス) id: 6b3a0c3161 (このIDを非表示/違反報告)
まろっぽ(プロフ) - ボロ猫+鈴猫さん» うんっ!(#^.^#) (2015年2月18日 16時) (レス) id: cdc13ffe23 (このIDを非表示/違反報告)
ボロ猫+鈴猫(プロフ) - まろっぽさん» ありがとうございます!(^ω^)頑張ります (2015年2月17日 22時) (レス) id: 61d933d3e8 (このIDを非表示/違反報告)
まろっぽ(プロフ) - @鈴猫(元・ボロ猫)さん» おもしろかったですっっ!更新頑張って〜〜〜!!! (2015年2月17日 20時) (レス) id: cdc13ffe23 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ボロ猫 | 作者ホームページ:  
作成日時:2014年10月9日 21時

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