深紅.

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Aside

また閉じ込められた

今度は檻という虫かごの中に
闇の蝶は綺麗に華麗に舞うことは出来ない

冷たく暗い
何故か恐怖を感じた

「今までと同じじゃないの」

私の強がった呟きが響いた

この“恐怖”の根源が分からない

今までと同じで、ベットと窓が1つ
差し込む日の光さえ同じ

全部あの部屋と同じ

ただ1つ違うものは無機質な鉄格子
なんの暖かさも感じない冷たい鉄格子

見た目の違いはそれだけだった

でもベットに暖かさはない
窓に差し込む日の光だって暖かさはない

どこにも人の暖かさはなかった

檻の向こうの扉が開いた

一瞬キヨだと思った
次の一声でキヨじゃないことに気づく

こーすけ「お腹は空いてないか？」

少し期待していた私は俯き首を横に振るだけだった

こーすけ「今日は忙しい。事情聴取もしたいが一晩そこで過ごしてくれ、悪いな」

こーすけの淡々とした話し声をただ聞き流した

こーすけ「警官じゃなくてキヨの友人としてアドバイスするなら、ただキヨを信じろ」

こーすけは背を向けたまま私にそう言ってきた

「どういうことよ！」

私の怒声に近い声は檻の中で響く
こーすけは私の声に無視をして部屋を出ていった


この部屋に足りないもの

やっと気づいた

大切で仕方ないのに気づかなかった

「キヨがいない」

フジもヒラもいない

人の暖かさで溢れている私の初めて出来た大切な人
いつの間にか自分の中で大きな存在になっていた

会いたい

会いたくてたまらない

「あの部屋に帰りたい」

「もう閉じ込めないで」

____こんな暗くて1人の世界に

「キヨ」

私の涙で消えかかった、か細い声

キヨ「なんだよ」

幻聴だと思った

私が顔を上げるとそこには肩で息をするキヨの姿

キヨ「Aを助けに来た。一緒に逃げよう」

キヨはいつだってそう
私を助ける時は肩で息をするぐらい走ってくれる

キヨが檻の扉を開ける

「どうやってここまで来たの？」

キヨ「そんなこと後でいいから、逃げよう」

檻から出てキヨに抱きついた

「ありがとう」

私がそう伝えるとキヨは頭を撫でて笑った

キヨ「これからどんなことがあろうと一緒に逃げれるか？」

キヨの真剣な声に驚き、顔を上げようとするとキヨの手で私の頭をキヨの胸に押し当てられた

「覚悟は出来てる。キヨは？」

「お前と出会ってから出来てる」

キヨの手が緩み、顔を上げるとはにかんだキヨの顔が近くてそのままキスをした

キヨは私の手を取って走り出した


キヨは

私のSupermanだ

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