《第1弾》ブーゲンビリア〜M.Tasuku ver〜

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近くのパーキングに即、車を駐車してスマホとキーだけを持ってアーヤを探す


あの男の人…


抱くようにアーヤに触れていたけど

酔ったアーヤの介抱をしていただけだと信じたい

…アーヤ俺の前では酔ってくれないくせに


なんて一瞬頭に過って首を振る


違う違う、きっとお偉いさんとの飲みで断れなかったんだ


そうだ。そういうことにしよう。


既に角を曲ってしまった2人の後ろ姿を見つけて声を掛けようとする


「ねぇ、彩ちゃん？きっと君が起きた時には忘れてる…よね｣


コツン、と自分の革靴の音が少し大きく聞こえた

少し胸騒ぎがするけど、そこから動けない俺は聞き耳を立てた


…なにやってんだ


「俺さ、彩ちゃんの事好きだよ。初めて会ったけど、好きだよ。

もうきっと会えないから…どうせ忘れちゃうなら…いいかな？｣


…何がいいかな、だ

目の前でアーヤが違う男の腕に巻かれてるのを見て、もしアーヤが俺の彼女じゃなくてあいつのだったら…なんて

確かにアーヤは可愛い

可愛いし品もあるし謙虚ででも努力家ですごくいい子だ。

他のやつが惚れるのも
アーヤを見てしまうのも俺が1番わかる

でも、初めてあったやつに何がわかるんだ

それほどまでにアーヤの魅力は溢れてるけど…

でも、できることならアーヤを他の男の目に触れさせたくない程に俺は彼女に惚れてるんだ

どこかに閉じ込めたいくらい

ドクンドクンと心臓の音。
アーヤがとられるのがそんなに怖い？

とられないって信じたいけどね。
いや、信じてるけどね


気がつくと暗い路地を抜けて行ってしまった2人の後を慌てて追いかける


この先は大通り…


俺が出た頃には男はタクシーを捕まえてアーヤを連れて乗り込んだ




ヤバい

何を怖がってるんだ
あの先は確実にアレだ。

ホテルに行く奴だ

あぁ、もうっ！

俺もタクシー捕まえて追う


(ほら、やっぱり)

ネオンの灯りで煌めく街

それに輝く星が憎たらしかった

タクシーがあるホテルの前で泊まる


「あそこで止めて下さい｣


1万円を運転手に渡した

「お客さん、お釣り｣

「いらない！！！｣



自動ドアの奥に2人


あぁ、部屋にはいられたらもうダメだ


「アーヤっ！！！｣


「は…？｣


「んぅ…？たすくぅ？｣


「あ…えっと…｣


焦ったように俺と男を交互に見るフロントの女の子

薄暗い照明が彼の顔に陰を作る

「アーヤを介抱してくれてたんですよね？
ありがとうございます。

さ、アーヤ帰るよ｣

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