平安時代 ページ4
プツリ
私の目の前から愛しく笑うその姿が消えた
「嫌い、大嫌い、だからもう俺の前から姿を消せ」
こんな言葉でもいいから今は聞きたいくらい
やめて、私の愛しい人をとっていかないで
私を置いていかないで
貴方を置いて私は…
どうしたら生きていけるというの
溢れる涙であなたの顔をなれないのが辛い
いかないで…
翼side
1ヵ月ぶりに家に帰ってくるとその中で苦しそうに息を吐くアーヤがいた
顔面蒼白で尚眠り続ける姿に俺は一瞬にて恐怖に落とされた
「アーヤっ、アーヤ!」
「緊急時に意識確認をする時頬をたたく程度なら良いが、揺さぶってはいけない」
そんな常識は軽く吹っ飛ぶことを今まざまざと知らされる
運良くもアーヤは若干気分悪そうだったがその愛しい瞳に光を灯らせた
「アーヤ!」
あぁ、良かった…
とりあえず目を覚ましてくれたことに俺は心底安心する
フッと身体中の力が抜けてアーヤにもたれ掛かる
「た…すく…?」
アーヤの瞳が潤んであっという間に盛り上がり、表面張力に耐えきれなくなった雫がポロリと頬を伝う
「翼…、翼…」
ギュウウとしがみつくアーヤの頭に手を乗せ、俺がいない間に何があったのかと思案を巡らす
俺は1ヶ月前からシンガポールに研究会という名目で出張に行ってきた
メールとは違う温かさのある手紙でのやり取りでしかアーヤと、繋がるものはなく
久しぶりに愛しい姿を見れると心浮き立つ気分で待ち遠しかった自宅の鍵を開けるとアーヤは予期せずもたいそう具合が悪そうだった
久しぶりに触れる体は細くちゃんと食べていたのか
俺がいない間のことは分からないけど、もしできるなら全て知りたい
しばらくしてアーヤが落ち着いたらしくポツポツとか細い声で言葉を紡ぎ出す
「夢…見たの
いなくなっちゃう夢」
俺はアーヤの近くにある本を見つけた
ゆっくりと濡れた頬を撫でながらその本を手に取る
アーヤらしい本だった
「私を置いていかないで…」
さっきな言葉には主語がなかったが、それは「俺」だろう
「私だけ…私だけの翼で居て…」
どくどくと血が流れるのを感じる
アーヤがそんなに束縛のような言葉をいうのはこれが初めてだった
本の表紙には十二一重と呼ばれる着物を来た男女が抱き合っており、少し黄ばんでいて古めかしい
「俺が…俺がアーヤ以外の人を愛するとでも?」
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うーみ(プロフ) - お久しぶりですー!それな、ワンコ系って感じだよね笑 (2020年1月25日 19時) (レス) id: a13d8cf9e0 (このIDを非表示/違反報告)
みずの(プロフ) - ひなです。お久しぶりです!翼風邪ひくと甘々になりそう (2020年1月23日 3時) (レス) id: d74848b20e (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - うーみさん» 悩む!!!!!← (2019年10月26日 13時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - うーみさん» うぉぉおぁあぁぁあ!!!!!←←← (2019年10月26日 13時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)
うーみ(プロフ) - Kさん» なるほどー、お気に入りに来ておけばすぐに見つけられるもんね どっちでもいいよ笑 (2019年10月26日 9時) (レス) id: 41901976a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うーみ | 作成日時:2019年8月27日 15時