salty cocolate 2 ページ6
(結局作っちゃったなぁ)
自分でも、何をしているんだと
呆れてくる。振られた男を想って
チョコを作ってしまうなんて
(このチョコは林にでもあげよっかな)
そう思って、首を横に振る。
いくら親友の林といえども、
振られた男を想って作ったチョコは
食べたくなんてないだろう。
(自分で、食べよう)
そう決めて、器具を一通り片付け、
私はブラウニーをもって部屋に向かった。
いざ、ブラウニーを目の前にすると
思い出されるのは去年のバレンタインデー
(去年は、冬樹のために作った分だけ砂糖と塩を間違えちゃったんだっけ)
それでも美味しいと言って、
全部食べてくれた彼を
もっと好きになった日だった。
そう思い出して、また、
涙が零れそうになる。
そんな思いを全部飲み込むために
私はブラウニーに手を伸ばした。
口に広がるのは甘いチョコには
不似合いな塩辛い味。
予想もしてなかった味に
思わず咳き込んでしまった。
「…ゲホゲホ!うぅ…しょっぱい」
彼はこれを美味しいと言って
全部食べてくれたんだと思って
今度こそ涙が出てきた。
口に広がる塩辛い味は
あの日と同じ涙の味
君がいなくなってからも
私の心は君ばっかりだった。
残りひとかけらになった
ブラウニーを食べ終えて
涙を拭いて呟いた。
「美味しかったよ…ご馳走様」
口の中はまだ、
甘くてほろ苦くてしょっぱい
初めてのキスと同じ味がした。
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作者名:ゆうな | 作成日時:2016年2月14日 16時