わたしの左手 ars k.nino

労力 ページ29

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「あんたも知ってるならさ雅紀も呼ぶ？」

二人きりより

よっぽどいい。








そう思い立ってスマホを握ったら

「いいよ。」

「え？」

「呼ばなくていい。」

「なんで？久しぶりなんじゃないの？」








「あのね。私がAを呼び出したの。」

「あー。まぁね？」

「私の労力無駄にさせるなや。」








おもわず目をパチパチさせちゃった。

「私を呼ぶ出す・・・そんなことが労力・・・」

笑っちゃった。









なんか

コイツと２人でいると

可笑しな発言が多くて

いつもより笑ってる気がする。









「あー。いいや。わかった。せっかくの労力無駄に出来ないよね？行こうか？」

伝票を持って立ち上がったら

「ハンバーグ。」

「わかってる。行きましょう？」

「奢るなら、ここは出してやる。」








最初は前払いがイヤだとか

言ってたくせに

普通に男の人といたら

割と当たり前にご馳走になってたけど

コイツが言うと

何だか一杯何百円のコーヒーに

有り難みを感じるわ・・・







「ごちそうさま。」

そう声を掛けたら

「・・・ん。」

小さく返事が聞こえて








歩き出したアイツの後ろを

追いかけた。







引き戸のドアを

当たり前のように

押さえて待ってくれたり

コイツのギャップ・・・

意外で驚く・・・

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