わたしの左手 ars k.nino

吹っ飛ぶ ページ19

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扉に押されるように進みながら

「狭いのに、なんで同時に入るのよ。」

足を進ませながら言ったら

「また付いて来れなかったら面倒だろうが。」








こっちも見ずに言い放った声に

やっぱりカチンと来ながら

答えなかったら

「出るとき、気をつけて？」

「え？」

「吹っ飛ばされるから。」

「え？」








そう言ってる間に

回転扉も終わりを告げて

出ようとしたら

ふわっと体が浮いた。








押し出されるみたいに

回転扉から解放された。

「こわっ！！」

出た瞬間に叫んだ私に

アイツは冷たい視線を送って来た。







「はいはい。駅こっち。」

顎で促された。

「あ。いいです。一人で帰れます。」

もう、これ以上

コイツと絡みたくない。







「じゃ、今すぐユニフォーム脱ぐのか？ここで？」

・・・

それは無理だわ・・・

中のTシャツも濡れたから脱いじゃたし・・・








「同じ沿線だろ？私の方が都会だけどな。」

そう言い放つコイツは

なんて嫌な奴なんだろう。







「分かりました。ここで立ち止まると迷惑ですし？駅まで行きましょう？」

開き直おって言った。









チラっと見ると

すごい人波で

付いて行けるかな？

そう思ったら

「おい。こっち。」

そう言うと私の左手を掴んだ。

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