わたしの左手 ars k.nino

何かの縁 ページ17

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「よく分からないけど。ありがと。」

そう言いながら受け取って

コップを少し合わせてから

また飲んだ。







なんだろ。

この観戦しながらのビールは

異常に美味しい・・・








「あ。そーだ。」

周りの声が騒がしい中

「これ。返すのに帰りちょと待って貰えます？」

そうアイツに言った。








「えー？やだよ。混む前に上手に帰るんだから。私。」

「いや。じゃ返せないじゃない。」

試合を見ながら言ってたアイツは

私を見ると

「・・・どっち方面に帰るの？」

そう聞かれたから

メトロで○○方面。

そう答えたら








「マジで？」

笑いながら一緒じゃん？

って答えた。

「ちなみに駅は？私はN坂。」

「・・・私は。y木。」

近いじゃん・・・








「んじゃ。後日返して？これも何かの縁でしょ？」

そう答えると

また試合に目線を戻した。








えー？

またコイツに会うの？

借りた物を返す為とはいえ

会いたくないな。








そう思いながら

残りのビールをグイっと飲み干した。








チラっと私を見て

アイツも飲み干すと

「観戦しながらのビール。うまいよな？」

って、すごい笑顔で言った。








不覚にも

可愛い・・・

そう思った私は

きっと初観戦で浮かれてたんだ。

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