わたしの左手 ars k.nino

お互い様 ページ15

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「え？」

「まぁ。頭と肩拭きなさいよ。」

そう言って更に目の前に

タオルをグイっと押された。









「あ・・・どうも。」

とりあえず、お礼を言って

冷たい肩を拭いた。









「まーね。こういう所に来る時は汚れるのは覚悟の上だし？タオルも必須。もっと言うなら着替えもね？」

「はぁ・・・」

そう言いながら試合に視線を少し走らせてから

「でもって、お互い様だから。」

「お互い様？」

「そ。あなただって今まで生きてきて零したことぐらいあんでしょ？」

「そりゃ、まー。」









悪気は無いことは

おじさんの顔を見れば分かったし

零したものは

もう仕方ないし

「だね。」









そう返事をした私から

もう一度、試合に視線を戻してから

「今ならトイレも空いてるんじゃん？着替えて来なよ。」

そう言われた。







だけど。今、持ってる着替えは

着てきたスーツだけな訳で・・・







何も言わない私に

「無いのか。」

そう言った後

「んじゃ貸してやるよ。・・・入るかな？」








！！

な！なんだ！！コイツ！！

「あんた今、入るかな？って言った？」

「言ったよ。何よ。私、細いからさ。借りたものの着れない・・・じゃ気の毒じゃん？」







本当にコイツ

最悪・・・・

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