story21 謝罪 ページ22
【Aside】
転海屋の粛清が終わって、急いで病院に戻ってきた私たち。親族しか、病室には入れないと言われ、私と総悟だけで入ることになった。
病室の、ベッドに横たわる姉上の姿は、さっき見たときよりも苦しそうで胸が締め付けられた。
「ごめんなさい。姉上。姉上の幸せ壊して来ちゃいました。いつも、姉上の幸せ奪っちゃってごめんなさい。ごめんなさい……」
私の目から、いつの間にか涙が零れ落ちた。
「姉上。……ごめんなさい。俺ァ……ろくでもねェ弟だ……結局姉上の幸せ奪って来たのは──俺。ごめんなさい。ごめ……」
総悟は、うつむきながら姉上に謝り始めた。最後に、ごめんなさいと謝ろうとしたときに、姉上の手が頬に触れた。
「Aちゃん……そーちゃん……いいの。よく頑張ったわね。立派に……立派になった……本当に強くなった。」
そういった、姉上の、声はいつもより小さくて、顔を近づけて話を聞いた。
私は、強くなんかなっていない。全然あの時から変わっちゃいない。
「……姉上。強く……なんかねェ。僕は……俺ァ。」
総悟の声は震えていた。
「私は……私は、何にも変わって無いよ……」
私は、今まで聞いたことの無いような弱々しい声を出していた。今まで現実を、こんなにも受け入れられなかったことは、合っただろうか。そんな、ことさえ考えてしまった。
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作者名:きなこ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Kinako_uranai
作成日時:2018年2月5日 13時