◎File.35 ページ38
.
「あ〜〜〜〜〜〜、ひま」
チョロ松くんがああ言ってくれたものの、
やっぱり暇な日は暇である。
急に私が大声を出したので、
部屋の外にいた警備の人が覗き込んできた。
あなたでもいいから私と遊んでください。
(………あ、いいこと思いついた)
そうだ、キッチンへ行こう。そして料理をしよう。
何を隠そう私の趣味は料理。
疲れ切っているであろうカラフルなあの6人に
手料理を振舞ってやろうじゃないか。
幸運にも私の部屋には簡易なキッチンがある。
外に出ずに済ませられるというわけだ。
「ふっ…完璧」
「…………」
またも警備の人にドアから覗き込まれた。
.
「よしよし、いい感じ」
ふんわりと部屋を満たすデミグラスソースの香り。
定番だがハンバーグを作ってみた。
冷蔵庫にお肉もあった。この部屋には何でもあるらしい。
問題は、これをどうやって届けるかだ。
「…あの〜」
「どうしました」
「…ずっと立ってるの疲れたでしょ?
ハンバーグ作ったんです。食べませんか?」
「いや、私はこれが仕事ですので…」
「そんなこと言わずにほらほら〜」
警備の人を部屋に招き入れる。
ハンバーグのお皿を渡すと、少しためらいながらも食べてくれた。
「…お、美味しい」
「それはよかったです。
実は、これ六つ子たちにも渡したいんですけど…」
「それでしたら、」
「……何してんの」
突然聞こえた声に顔を上げると、
一松が部屋に入ってきているところだった。
不思議そうな顔で、向かい合って座る警備さんと私を凝視している。
そして鼻をヒクヒクとさせ、
「…いいにおいの正体はこれか」
俺も欲しい、と付け加えた。
「ちょうどみんなにも持っていこうと思ってたの。
手伝ってくれる?」
「俺みたいなゴミでもできる仕事だね。いいよ。」
「すぐそんなこと言わないの」
ちょうど良かった。これで部屋から出られる。
警備さんにお礼を言い、一松と一緒に部屋を出た。
.
289人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水仙(プロフ) - チョロ松笑ったwww (2017年1月22日 14時) (レス) id: 2af43545d8 (このIDを非表示/違反報告)
かふぇいん - ふおおおお!!!これは続編も見なくては!!! (2017年1月14日 19時) (レス) id: 85405eb198 (このIDを非表示/違反報告)
NICO - とっても面白かったです! 続編も頑張ってください♪ (2017年1月4日 22時) (レス) id: dd50939e7d (このIDを非表示/違反報告)
スズモモ(プロフ) - なーさんさん» ほんとですか!ありがとうございます〜!おういえあ(・∀・) (2017年1月4日 17時) (レス) id: 371c610c5f (このIDを非表示/違反報告)
なーさん - めっちゃ面白い!!!!いつも見させてもらってます!!おういえあ!(゚∀゚) (2017年1月3日 23時) (レス) id: 9e37fb201f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スズモモ | 作成日時:2016年11月12日 9時