Trajectory 54 ページ9
赤司 side
「うぅ〜〜」
『・・・』
帰りのバスの中、俺の隣で、窓の外を見ながらAがへこんでいる
もちろん…友達が1人も作れなかったから
『・・まだ人生は始まったばかりだから、いくらでも機会があるよ』
Aの頭を優しく撫でてそう言う
まぁ…俺も或斗も今のままで十分なんだが
こんな事言ったら、2人が原因だな!!と騒ぎ出しそうなので、黙っておく
「征くん…うん!」
その事に全く気付かず、嬉しそうに返事をする
本当…─────
『無防備なんだから…』
はぁ、と溜息を吐きながら、俺に寄り添って眠ってしまったAを見る
この自然学校ではほとんど俺を避けていたくせに…
今はこんなに身を寄せてくる
あまり無防備すぎると……
『───襲うよ』
眠っている子の耳元でそう呟くけど、絶対しない
Aを泣かせたら或斗が怖い…それは今も昔も変わらない
きっと鬼のような形相で睨んでくるだろう
それにしても…
『・・理不尽』
好きな子にこんな事をされて、何も出来ないなんて…
と思いながら、Aの方へ頭を傾ける
・・今はゆっくりお休み、A────
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:優飛 | 作成日時:2016年5月22日 13時