Trajectory 53 ページ8
赤司 side
「きゃあっ」
「ぅわっ…っと大丈夫?」
そんなやりとりをして、俺たちがいた道を歩いていく2人
結局…唇が触れることなく、さっきの2人の気配に気づき、近くの木の裏に隠れた
「……せ…くん…?」
俺に抱きしめられているAは、何が起こっているのかわからないのか、俺の名前を呼ぶ
────…危なかった
まだ胸の高鳴りと頬の熱は冷めないまま
けど、頭は幾分冷めた
キスしたい衝動を抑え、向かい合わせにして、
まだ頬が赤く染まっているAに質問する
『そう言えばA…この自然学校で友達出来た?』
この行事で、Aが一番頑張ろうとしていたことを聞いてみる
すると忘れていたのか、目を大きく見開いて、赤かった顔が青くなっていく
「と…もだ…ち……────あぁっ!?」
俺からバッと離れ、この4日間…全く行動していなかったようで、
どうしようを繰り返して慌てている
それだけ…俺の事に気を取られていたのか、と少し嬉しくもある
だから
『一体何に、それ程気を取られていたの?』
少しいじめてやろうと思ったんだ
それが…間違いだった
「え…何って……───何だろう?」
本気で忘れたようで、首をかしげている
顔の赤みも完全にとれているようで…
余計な事を言ってしまった、と思いながら、
悩んでいるAの頬をつねる
でも
「いひゃいよ!せーくーーっ!!」
以前のようにこうやって会話できることが嬉しくもある
ゆっくりでいいさ…そう思いながらゴールを目指す
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作者名:優飛 | 作成日時:2016年5月22日 13時