【黒バス】俺たちの軌跡２【赤司征十郎】 (ページ20)

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Trajectory　65 ページ20

赤司 side

『・・好きなんだ』

───────君が……狂いそうなほどに
俺の突然の言葉にAは、閉じかけていた目を開く
ボーっと見つめていたけど、ハッとして顔を赤らめていく
キュッと俺の服を掴み、混乱したように「え？」を繰り返していく

「あ……えっとね…」

顔をうつむかせて、少し俺を押し返す
あ……少し待って…俺も何の覚悟もしていないんだ
これまでの関係が崩れる……全てが終わりそうな感覚がして、咄嗟に口が動く

『───伊達政宗が』

「・・・・え」

驚いた様に、また顔をあげるA
そのAに、続きを語りだす

『政宗は幼少時に患った疱瘡(天然痘)により右目を失明し、隻眼となったことから後世独眼竜と呼ばれた。隻眼になっても尚、その強さは織田信長にも豊臣秀吉にも認められ、家臣からの人望も厚い。更に当時、唯一黒船を所有していた。彼の死には多くの者が────』

習った知識を次々と言い続け、全て言い終わる前にAに止められた

「つまり…さっきのペンギンさんは伊達政宗がいいの？」

別にどれでもよかったが…とりあえず頷いた
するとAも納得したように、うつむいてしまった俺の頭を撫でる

「そっか、わかったよ。でも多分、アルと３人で話し合っても大丈夫だったと思うよ」

心配性だなー、といつもよりテンション高めでそう言う
俺の好きの対象が自分でない、とわかったから…？
不安でたまらないこの心
だけど、不安だけでもないこの心

「じゃあ戻るね」

俺に手を振り、また背を向けるA
不安だけでない気持ちが俺の身体を動かし、彼女を後ろから抱きしめる
そのまま口に近い耳にキスをする

「………っ！？」

一気に、ボッと赤くなったA

わかってくれた？いや、Aは鈍感だから気づかないだろう
好き、と言う気持ちに気づいてほしくない
だけど、気づいてほしいんだ
そんな複雑な感情…君には伝わらないだろう

『・・また明日ね』

大きく目を見開いて俺を見つめるAにそう言い、今度は自分から離れていった

「…～～っ…ずるい」

小さく、そう呟いたのに気づかないまま