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Trajectory 60 ページ15

赤司 side


「きゃあっ!!」

リビングで或斗とバスケの話をしていたら、調理中のAの悲鳴がキッチンから聞こえた
すぐにキッチンへ駆けつけると、


「……ぅ…わぁぁんっ!!」

フライパンが床に落ちて、八宝菜らしきものがAにかかっていた
その間でAが泣き出してしまった


「あぁあっAっ!!!」

すぐ或斗がAを抱き上げ、リビングへ戻った
俺は濡れた冷たい布を持って、少し遅れていく





「大丈夫?フライパン重かったんだろ?」

Aにかかったとろみを拭いてあげながら、そう質問する
今回の事件…理由は何となくわかる
Aは力ないから、きっと今まではじいやが重たいものを持っていたのだろう
だから今回、皿に料理を移そうとフライパンを持ったが、重すぎて落とした…だろう


『熱かった?赤くなってる』

ふとももに持ってきた冷たい布をかぶせてあげて聞いてみる…が


「冷たっ…い」

今の感想が帰ってくる
まぁ、熱くないわけがないか、と思い直した


「征、俺は向こう片付けてくるから、Aよろしく」

「!?私がする」

私がしたから…と動こうとするAを抑えて、或斗を行かせる
そのままご飯も作るらしい
Aはその事にとても不満そう


『もう…無理してはいけないよ』

俺も或斗もすごく心配したんだから…
そう言いながら、Aの頬にかかっているとろみを指先で取る
すると、少し頬を染めながら、素直にごめんなさいと謝る


『先にお風呂入ってくる?』

さすがにベトベトだし…少しヒリヒリすると思うけど
でもAは或斗に任せた料理の方が気になっているよう


『・・じゃあ久しぶりに一緒に入る?お風呂』

お風呂に入りたくなさそうなAにそう提案すると、
少しの間フリーズして、一気に顔を赤くする
そんなAの頬に触れると、ピクッと肩を震わせる

─────────…あ、またこの反応
自然学校のあの肝試しを思い出した
同じように胸が高鳴って…──────



『──────入っておいで』

高鳴る鼓動を抑え、もう一度優しくAにそう声をかける
今度は大人しく従い、風呂場に向かった
パタンっとドアが閉まったのを確認して、手で目を覆う


『本当…そんな顔しないで』

我慢できなくなる───────

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作者名:優飛 | 作成日時:2016年5月22日 13時

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