第四十三話 ページ45
治君の怒号の後に、お兄ちゃんも、
「手前が云うな、この裏工作野郎!俺は俺の意志でマフィアに加入してんだ!・・・・・・それに、後から調べたらあの電子遊戯台、釦操作が利きにくくなってたらしいじゃねえか!無効試合だあんなもん!」
と、逆に怒鳴り返していた。
『ちょ、お兄ちゃん・・・。』
私はため息をついてしまった。そしたら、治君は、悪びれた様子もなく
「負け惜しみかい中也?君は僕が“今週の負け惜しみ中也”なる会報を組織全体に配布しているのを知って協力してくれようとしているのかな?」
とか云った。え、“ 今週の負け惜しみ中也”ってなに。そんなことを考えていたらお兄ちゃんは、
「誰が手前なんぞに協力・・・・・・待て、待て待て!加入の挨拶をした時、皆に微妙な笑いがあったのは、その会報の所為かよ!」
と、返した。あー、僕はその妹って言ってたからかな?・・・にしても、面白いよね。僕も笑っちゃいそうだもん。
『ふー』
と、一息わざとついて、ふっと笑った。
「な、なんだよ優羽!?」
『いやぁ、面白いなぁって?』
「意味わかんねぇし!面白くねぇっての!!!」
お兄ちゃんって面白いなぁ。こんな子供っぽいお兄ちゃん見るの初めてだけど、私はこっちの方が好きだよ。
『お兄ちゃん、やっぱり治君と居た方が生き生きしてるよねぇ。』
「はぁ?」
思いっきり不機嫌な表情をしたお兄ちゃん。・・・月日が流れても、僕はこの出逢いを後悔することなんてないのだろうな。そう思いながら、ふっと微笑んでいた。
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作者名:十六夜紅葉×山吹 x他2人 | 作者ホームページ:http://yuuha0421
作成日時:2023年6月15日 20時