じゅじゅ短編 (ページ27)

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あこがれのせんせい※閲覧注意ページ27

※前と同じ

「落ち着きな。深呼吸して」
痛みの中で私はその声に縋った。

私に頼れる人は居なかった。物心付いた頃からお腹が弱くて、いつも男子にからかわれていた様に思う。母は子供の世話を面倒くさがる人で父は滅多に家に帰って来なかった。
幼稚園ではお腹を壊す度に面倒を見てくれていたけれど、小中学校ではそうもいかなかった。保健室登校と言う手もあったが母がいい顔をしなかったので毎日怯えながら授業を受けた。
そして受験生になって通信制の高校を選ぼうと相談しようとした矢先に、両親が死んだ。殺されたのかも知れないし、殺し合ったのかも知れない。出掛けた先のレストランで互いに首を締めていたらしい。
私は親戚の正道さんに引き取られ、その直後に五条先生によって呪術高専への入学が決まった。訳の分からないまま授業と任務をこなし、同級生の秤君や補助の方には沢山迷惑を掛けてしまった。
それでも異性に相談するのは恥ずかしくて、このまま我慢し続けるのだと思っていた。そんな時に硝子先生の事を聞いた。
その日はお腹がぎゅうぎゅう痛くて、休みなのを良い事にトイレに籠もりっぱなしだった。お腹が空っぽになったタイミングで医務室に駆け込んだ私を硝子先生は優しく出迎えてくれた。
それから私は医務室に入り浸るようになって、そんな私を硝子先生は受け入れてくれた。先生だって忙しい筈なのに「しょうがないな」と抱き締めてくれた。
このふわふわした憧れと尊敬が恋に変わったのはいつだったのだろう。
告白しようと決めた日は緊張でいつもの倍くらいお腹が痛んで、秤君に真っ青だと心配させてしまった。任務終わりに医務室を訪ね、遂に先生に気持ちを伝えた。
いつまでも答えが帰って来なくて、咄嗟に『帰ります』と言いかけた時、先生が私を抱き締めて好きだと返してくれた。
耳元で囁かれた言葉にぞくぞくして初めて私からも抱きついた。硝子さんは私と違って温かくて、柔らかくて、'幸せ'だと思った。
その夜私の初めてを硝子さんは貰ってくれた。気持ち良さと幸福感が波のように襲って来て、目が覚めた時には硝子さんの腕の中にいた。服も着せられていてお腹には厚手の腹巻き。すぐに目を覚ました硝子さんがプレゼントだと言って頭を撫でた。朝食を作ると部屋を出ていった硝子さんの背中をずっと見ていた。

『私硝子さんがいないともうだめみたいです』
「やっと気付いたのか。今日も可愛がってあげよう」