魔王子の最期の願い ページ26
「シリル」
地面に倒れたシリルを抱き起こすと、彼はうっすらと翠の瞳を開けた
「義姉上…約束を果たしてくれて…ありがとうございます」
弱々しいが嬉しそうに笑って礼を告げるシリルに首を横に振る
「礼を言われるようなことはしていないわ。５年前、私があなたの提案に乗らなければ…あなたがここまで苦しむことはなかったはずだもの。…ごめんなさい」
５年前、死んだはずのシリルの登場に戸惑った私の隙を突いてフォスター公爵に殺されかけた。瀕死の私にシリルが提案したのは、"全ての記憶を消せば、兄上への想いも消えるかもしれませんよ,,というもの。叶わない恋を自覚している私は、楽な方を選んだ。記憶を失っても大切な想いが消えることがないことくらい、知っていたのに
「義姉上は…傲慢な方だ」
冷たく聞こえる言葉とは裏腹にシリルの唇は柔らかい笑みを象っている
「女神だって…救えないものはあります。全てを救いたい、護りたいなんて…傲慢で優しい願いですね」
「…私は…そんな立派じゃないわ。女神の使命を果たす為に多くの無辜なる民を見殺しにするもの」
世界を護る為に無辜なる民を見殺しにした。リオネスの民だって、この戦いでたくさん傷ついている。エリザベス王女が〈七つの大罪〉を頼るとは思わなかったが、遅かれ早かれリオネスが混乱に陥ることは予測できていた。それを分かっていて敢えて手を出すことはしなかった。
「…ねぇ、義姉上」
「……何？」
「もう一度だけ…兄上に…会いたい……」
シリルの最期の願いに思わず目を見開いた私は力強く頷いた
「必ず、メリオダスをここへ連れてくるわ。約束する」
「待って…いますから…アデライドと…リカルドを倒して…メアリーを救ってあげて下さい」
「…うん、分かった。早く戻ってくるからもう少しだけ頑張ってね」
「はい」
瀕死のシリルをルイスさんに預けた私は、座標を王都に合わせて転移した
「あら…流石のお前でも、魔神族は怖いのかしら？ねぇ、裏切り者のメリオダス？」
「……っ！！」
「＿＿＿＿ちょーっとお喋りがすぎるんじゃなくて？女神族のアデライド様？」
アデライドを魔法で覆った私は、冷たさを宿した声を発しながら彼女の背後に現れた
「ユーリ……！！」
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pomme(りんご)(プロフ) - 瑠李さん» 返信ありがとうございます。また何かありましたらお教え頂けますと幸いです (2021年7月4日 20時) (
レス) id: cf9e4ba859 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - ありがとうございます！今読みました。これからも面白い小説頑張ってください！応援してます！ (2021年7月4日 19時) (レス) id: 88c711d3e6 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(りんご)(プロフ) - 瑠李さん» コメントありがとうございます。今、消しましたのでご覧頂けると幸いです (2021年7月4日 19時) (レス) id: cf9e4ba859 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - 国王陛下の帰還が同じセリフがあります (2021年7月4日 19時) (レス) id: 88c711d3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アストライアー | 作成日時：2021年7月3日 22時
