Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第五章〉 (ページ49)

今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:28,043 hit

女神の真実ページ49

「ユーリは16歳だろう？3000年以上前に存在した国の女王が、どうしてここにいるんだい？」

「それは秘密。"まだ,,話せないわ」

　何を考えているのか分からない笑みを唇に浮かべたユーリは、肩を竦めてそう答えた

「"まだ,,…ってことはいずれ話してくれるの？」

「少なくとも、〈七つの大罪〉と〈女神の愛し子〉(あなたたち)には話さなければならない時が来るはずよ」

　"話さなければならない時が来る,,ってどういうことかしら？ユーリの声色から推測するにその時が来ることを望んでいないような…そんな気がする

「あの…ユーリ、エヴェリーナ王女を救うことはできないのでしょうか？」

　エリーが告げた提案…というより、問いに首を横に振るユーリ

「私も、リーナの中に宿るアデライドに気が付いていなかった時はあの子を助けようと様々な解決策を模索していました。でも、アデライドが宿っている今、それはできない」

「アデライドをエヴェリーナ王女から引き剥がすことはできないの？」

「できるわよ」

「なら……！」

　パァ、と顔を明るくしたみんなを見たユーリは困ったような笑みを浮かべて力なく首を横に振る

「国(イデアール)が滅びた時に〈破魔の神石(メシア・クリスタル)〉を酷使し過ぎた影響でリーナの魂は壊れかけているの」

「どういうこと？」

「聖王家に生まれた姫たちが女神と呼ばれる理由は、姫たちが魔力とは別の…"女神の力,,と呼ばれる力を宿しているからなの。時を操る力や空間を操る力、メリルローズ様や私のような魂を操る力…それらは全て魔力とは異なるものよ。その力の源となるのは、世界に存在する万物全て。〈破魔の神石(メシア・クリスタル)〉を何の負荷もなく使えるのは"女神の力,,に目醒めた姫だけ。力に目醒めていない姫が使えば神石(クリスタル)の負荷に耐えられず、魂が摩滅してしまうの。イデアール滅亡当時、リーナは"女神の力,,に目醒めていなかったわ。けれど、あの子は自分の魂が摩滅してしまうことを承知で〈破魔の神石(メシア・クリスタル)〉を使い、国を護ろうとした」

　ふぅ、と小さく息を吐いたユーリの瞳には隠しきれない悔いと怒りがある

「じゃあ…エヴェリーナ王女は……」

「…あの子は、助からないわ」

　澄ました顔で残酷なことを告げたユーリの握りしめた拳からは血が滴っていた