妖精王の苦悩と女神の助言 ページ34
「オイラは、〈
「実物を見ていかがかしら？」
椅子に座り、サラサラとカルテ代わりにしている真っ白な紙に羽ペンでメリオダス様の容態を書きながらキング様に問う
"聡明で美しく寛大で優しい,,だなんてトンデモナイ噂を流してくれたものである。私は、そんなご大層な女王様ではない
「…想像していたより生きていたよ」
「え？」
「もっと完璧で欠点なんてないと思っていたけど、不完全で欠点があるキミの方が〈理想の女王〉より好ましく思う」
「…キング様は、当代の妖精王だったわね」
「そうだよ。…森も妹も
自嘲気味に嗤うキング様の心中の全てを察することはできない。けれど、少しは分かる
「…私も、国を護れなかったわ。命に代えても護りたかったものは、全て目の前で消えていった」
「キミは…何故、魔神王の要求に応じたんだい？国を護りたいなら魔神王の手なんて取るべきじゃなかった」
「…そうね。今なら愚かだったと、そう思えるわ。でも、あの時は分からなかったの。どう足掻いても負け戦だった。だから、ほんの少しの希望に…奇跡に縋った。結果は見るに堪えないものだったけれど」
今でも夢に見る。国が、民が、娘が、目の前で大切なもの全てが消えていく、残酷な光景を
「…オイラは、キミがよく分からない。何を考えているのか、何が目的なのか」
「…悩みなさい。悩んで悩んで悩み抜いて…そして、出した結果があなたにとっての正解よ。誰から非難されても、それはあなただけのもの。…キング様は真面目で優しいから大変ね」
クスッと微笑ってキング様に視線を向けると彼は眉間に皺を寄せてぷいっとそっぽを向いた
「ねぇ…キミは自分の為に生きたことはある？」
キング様のその問いかけは私の心中を全て見抜いているようで、何も答えられなかった
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作者名：アストライアー | 作成日時：2021年6月13日 18時
