Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第五章〉 (ページ29)

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女神の治癒術ページ29

「エリザベス王女、メリオダス様を診せて頂けますか？」

　グスッと泣いているエリザベス王女からメリオダス様を受け取った私は、魔力で透視す(診)る

　肝臓や脾臓、心臓の破裂。及び、全身の複雑骨折。折れた肋骨が肺に刺さっているから余計に事態が悪化しているわ。まぁ…幸いなことに頭に異常はないからそこは喜ぶべきところかしらね。それから…冷や汗をかいて爪の色が白くなってる。となると……

　メリオダス様の首筋…頸動脈にそっと触れ、口許に耳を近づける

「っ…ぅ……」

「やっぱり、ね……」

「な、何か分かったの？メリオダスは助かるのよね！？」

「菫さん、二階の部屋のベッドメイキングをお願いできるかしら？」

「え？」

「暫くは目が覚めないでしょうから寝かせる場所が欲しいの。フォスター公爵の手配でこの町の医者には診てもらえないでしょうし」

「わ…分かった！」

　力強く頷いた菫さんは急いでお店に入って行った。そんな菫さんの様子に笑みを零した私は再びメリオダス様に視線を落とす

　浅い傷は治っているけど、深い傷は中々難しいわね。まぁ…あの程度の治癒魔法でこんな深い傷が治るとは思っていなかったけど

　はぁ、と深いため息をついた私はメリオダス様を地面に寝かせて彼の唇にそっと口付ける。ふわぁ…と淡い蒼銀の光と共にメリオダス様が負っていた傷が癒えていく

「はぁっ…はっ…はぁ……っ」

　６つの心臓を潰されたことでメリオダス様の生命の灯(ひ)は消えかけていた。それを見た私が〈女神の契約者〉である彼に与えたのは、己の生命。私と魂をリンクさせているからこそできるもの。とはいえ、契約者に自らの生命を与えるような荒技をする女神はあまりいなかったらしい。というのも、女神も契約者も"女神の大樹,,…延いては〈破魔の神石(メシア・クリスタル)〉の大結界に護られたイデアールにいたからだ。女神と呼ばれ、神聖視されていた聖王家の姫が国外に行くなんて……！と問題になるので女神たちが公務以外で国外に行くことはまずなかった

「ユーリ、メリオダス様は無事なの……？」

「目が覚めるまで何があるか分かりませんけど、とりあえずは大丈夫です」

「そう…良かった……」

　ホッと胸を撫で下ろしているエリザベス王女+〈七つの大罪〉を見て小さく笑みを浮かべた私は、メリオダス様を横抱きにしてお店に入った