Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第五章〉 (ページ27)

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女王　エルティアナ=リリアーヌページ27

「ユーリが…女王？」

　私たちの視線を受けたユーリは、小さくため息をつく

「"解放(リベラーレ),,」

　そう小さく呟いたユーリは淡い蒼銀の光に包まれ、次の瞬間にはリオネス王城で見た〈霊魂の女神(ラ・ヴィータ)〉そのものになっていた

　膝辺りまである緩く波打つ艶やかな青みがかった白銀の髪に昼を象徴する金色の右眼と夜を象徴する蒼色の左眼。光の加減で浮かび上がる木蓮の花を模った銀糸の刺繍が美しい純白のエンパイアドレスに身を包み、足元は銀糸で青薔薇と白百合を模った宝石ビーズが縫い付けられた純白のパンプスで飾っている。首元にはクロスモチーフのネックレス、頭には小粒のダイヤモンドが鏤(ちりば)められたリーフモチーフのティアラが載せられ、見る者全てを圧倒するような気品と神々しさを湛えていた

「本物の…〈霊魂の女神(ラ・ヴィータ)〉様……？」

「こんなこと…あるの……？」

　信じられない……。ユーリが旧精霊国の女王陛下で女神だったなんて……

　圧倒的な美貌はもちろんのこと、時折畏怖を抱かせるほどのカリスマ性もある。美貌もカリスマ性も女神としてのものだとしたら納得できる。というか、女神じゃなかったら"何者なんだ,,ってなる。ゼッタイ

「…リーナに聞いたの？」

　リーナ。娘の愛称を呼ぶユーリの声には慈しむような柔らかさがあった

「エヴェリーナの身体を器にしてから全て記憶を読んだわ。どうせ、もう死んでいるのだから良いでしょう？」

「ふざけないで頂戴。死者を静かに眠らせるという気持ちは、あなたにはないの？」

　尤もな意見である。というか、女神族がこんな高圧的な種族とは思わなかった。いや、エヴェリーナ王女の身体を乗っ取ったこの女神族がたまたまそうなのかもしれないが

「何故、我ら女神族が死者を眠らせてやらねばならないの？女神族(我ら)の役に立つのだから礼を言われても良いくらいだわ」

　本気でそう思い、他種族を見下す女神族が怒りを通り越して哀れに思う

「哀れね」

　ふぅ、と小さくため息をついたユーリは女神族に憐れむような目を向けてそう呟いた