少女を拾った理由(わけ) ページ20
「11年前、オレはお前の死を望んだ。処刑されるならされちまえ、って…そう思った」
愛する人から死を望まれることは何度も経験している。それでも、毎度ご丁寧に動揺し、絶望し、痛みを抱く
「でも、怒りを抱く人間たちから石を投げつけられても黙っているお前を見て少しだけ本当にお前がエリザベスを殺そうとしたのか…違和感を覚えたんだ。本当にオレがしたことは正しかったのか、本当にユーリが犯人なのか、って」
「あの時は証拠もありました。何より、大切なエリザベス王女を生命の危険に晒した者の死を望むのは仕方のないことです」
「証拠があったから黙ってたのか？」
メリオダス様の声に怒りや憎しみといった負の感情はない。ただ、本当に疑問に思っている声だ
「…あの当時は、何となく予測していました」
「何を根拠に？」
「…フォスター公爵家に裏があるのは何となく分かっていましたし、その計画の遂行には私が邪魔だということも把握していました。ですが、エリザベス王女の生命を狙うという考えには至らなかったのです」
前回も今回も、読みが甘かったせいでエリザベス王女の生命を脅かしている。本当に申し訳が立たない
「…でも、オレは前回も今回もお前を裏切った」
「私と一緒で学習能力がないんですね」
「お前な、そこはフォローするとこだろ。なんでトドメ刺してんだよ」
地味にショックだったのか、いつもはぴょこんと跳ねているアホ毛がしょんぼりしている気がする
「事実でしょう。でも、あなたの方が健全です」
「え？」
「あなたの行動の根幹にあるのは、エリザベス王女への揺るぎない愛。だからこそ、王女を傷つける者に憎しみを抱く。もちろん、それが免罪符になる訳ではありません。でも、私よりはずっと健全です。瀕死の私を助けて下さってありがとうございます」
あの時の私は、下手を打って本当に死にそうだった。助けてくれたのがメリオダス様ではなく敵だったら…即殺されていただろう
にこっ、と笑ってメリオダス様にお礼を告げると彼は照れたように笑って、おう、と一言返した
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作者名：アストライアー | 作成日時：2021年6月13日 18時
