Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第五章〉 (ページ12)

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看板娘が使う猪の上手な狩り方ページ12

「お酒で悪酔いしているようですね。今日はお家に帰った方が良いのでは？」

「悪酔いだとぉ？注文もマトモに聞き取れねーお荷物の小娘を代わりに教育してやったんだろ！謝罪の代わりに酒持って来やがれ！」

「な……っ」

　ムッ、としたような表情でお客様に言い返そうとした菫さんを手で制し、唇を吊り上げる

「確かにウェイトレスの失態はこちらの落ち度ではありますが、先程謝罪致しました。お客様もそれで納得して頂けたとお見受けしましたがいかがでしょうか？」

　遠回しに嫌味をぶつけてみると、どうやら奇跡的に目の前のお客様に通じたらしい

「てめぇ、俺を馬鹿にしてんのか！！こっちはフォスター公爵が味方についてんだぞ！オラ、もっと酒持ってこい！」

「へぇ」

　思わず出した声は、氷よりも冷たく凍てついていた

　フォスター公爵がこの男の後ろ盾を、ねぇ？記憶によると、この男は公爵家所縁の商家の家長らしいし、もしかしたらフォスター公爵家の悪事の証拠を掴めるかもしれないわね。そこから芋づる式に色々と証拠が掴めるとラッキーなんだけど…そう上手くもいかないか

「そのお話、とっても気になります。是非、お家で聞かせて下さいな」

　営業スマイルでお客様に媚びを売ると、顔を赤くしたお客様は先程とは打って変わって上機嫌になる

「金は払ってやる！その代わり、この女は頂いていくぞ！」

「ユーリ！！」

「《大丈夫よ、菫さん。明日の朝には戻るわ》」

　精神感応(テレパシー)で大丈夫だと告げると菫さんは少しだけ表情を和らげた

　さて…どんな証拠(お宝)が出てくるのか、中々楽しみね。…と、その前にやることがあったわ

「"消去(デリート),,」

　この場にいるお客様全員の記憶からエリザベス王女の名前と身分を消した私は密かに口許を緩め、お客様と共に〈豚の帽子〉亭を出た