Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第五章〉 (ページ11)

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迷惑客の上手な躱し方ページ11

「いらっしゃいませ！」

　今日一日でとんでもないことが起きたような気がするが、〈豚の帽子〉亭は営業している。もちろん、看板娘の私もウェイトレスとして働いている。…菫さん以外の視線がブスブス刺さって痛いが

「こんな高ぇ酒(モン)を頼んだ覚えはねえ！！」

「も…申し訳ありません！！」

　注文を間違えてしまったエリザベス王女が怒られている。仕方ないと言えば仕方ないが…これは流石に可哀想だ

「申し訳ありません！何せ、新人なもので慣れていないのです。そのお酒の代金は頂きませんのでどうかお許し下さい」

「…仕方ねぇな」

「ありがとうございます」

　営業スマイルでどうにか怒りを収めたお客様から離れると、エリザベス王女が申し訳なさそうに眉を下げて謝る

「ごめんなさい、ユーリ。迷惑をかけてしまって……」

「あーいう客はたまに出没するんです。悪いのに当たったと思って切り替えましょう」

「はい！」

　笑顔を取り戻したエリザベス王女にホッとしつつ、カウンターに戻った私はメリオダス様に謝る

「ごめんなさい、勝手なことして……。その分の代金は私から支払わせて頂きます」

「ああ，分かった」

　一度も目を合わせず、素っ気ない口調で返されたことに少しだけ傷つく

　いいえ、もう慣れたことだわ。傷ついてなんかない。傷つく必要なんてどこにもない

「きゃあっ！」

　躓(つまず)いて転けるエリザベス王女。キラリと光るのは一本のピアノ線。どうやら、あの客には魔力があったようだ

「大丈夫ですか、エリザベス王女？」

「は…はい。大丈夫です」

　この男…よくもエリザベス王女に怪我をさせたわね。少し痛い目見ないと分からないタイプの奴かしら？

　大丈夫、と言いつつも床で擦りむいたのか、王女の右足の膝は僅かに出血していた。手を翳して治癒魔法をかけた私は、メリオダス様に王女を預けて迷惑客に"誰が見ても作っていると分かる,,笑みを向けた