Tu aimeras les gens et tu vivras fierement〈第八章〉 (ページ35)

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憎しみを抱いた理由ページ35

「よく、見ているわね」

「人を見る目を養わないと生きていけなかったからね。母上様が魔神王の娘だと知っているのは王家の者だけだけど、王家の血を引く妾の子は否が応でも注目を集める。本当に信を置けるかどうかは自分自身で見極めなければいけない」

「そうね」

　私自身も覚えがある。まだお父様が健在だった頃、妾から王妃になったお母様の娘として否が応でも注目を集めた。…もちろん、悪い意味で

　どれだけ血筋が良くても、どれだけ身分が高くても、正式な妃の子でない限りは否が応でも注目を集める。そして、鬱憤の捌け口として嫌がらせを受ける

「君の演技は完璧だった。だからこそ、違和感を覚えたんだよ。王女とはいえ、幼い少女がそんなに感情をコントロールできるものなのか…って。そして、君をよく観察しているとエリザベスに向ける視線に僅かだけど憎しみや嫉妬が混じっていることに気がついた。だから、興味が湧いたんだ。エリザベスに憎しみを向ける者なんてあまりいないからね」

　嫌味なほど良い子であるエリザベス王女に憎しみを向ける者なんてあまりいない。王女に憎しみを向ければ、王女を仲良くしている者たちから敵意を向けられるから

「……？」

　何か、違和感を覚えた。ずっと気付いていなかった、気付いてはいけない"何か,,に気がついてしまったような気がする

「ルティ？」

　私がエリザベスを憎んだのは、メリオダスを奪われたから。でも、本当に…それだけ……？

「＿＿＿＿＿＿＿＿＿っ！！」

「ルティ！？」

　手が震え、持っていたティーカップが床に落ち、無残に砕け散る。私の異変に気がついたエドワードが駆け寄ってくれるが彼に微笑む余裕は、今の私にはない。それほど、混乱していた

　違う…私がエリザベスを憎んだのは…メリオダスを奪われたからじゃない……。みんなに愛されるエリザベスが…羨ましかったんだわ。何にも囚われることなく、自由に羽ばたく翼を持っているあの子が…羨ましくて、妬ましくて、憎らしくて…でも、私を"姉様,,と慕い、好きだと言ってくれるあの子を、嫌いにはなれなくて

　自由の翼を持つエリザベスへの憧れが、いつしか嫉妬へ変わり、憎しみへと変化した

　ポロ…と生温い涙が頬を伝う。手で口許を押さえていないとみっともなく泣き叫んでしまいそうだ

　幻想を押し付け、憎しみの矛先をエリザベスに向けてしまったことが申し訳なくて、息もできないほど胸が苦しい