困ったお客さん ページ9
私は包んだ花を手に固まってしまった。
「ディルック様が戻って来たらまた来るから」
貴方「あ、…はい、お待ちしております…」
知ってるよ。ディルック狙いなのも。
だって貴方３回目だよね、今日だけで来店したの。
買った花をモンドの前の湖に捨ててるのも。
花を調達しに行った時に見たから。
この人だけじゃない。
モンドは基本いい人ばかりだけどたまにいる非常識なお客さん。
でもお客さんだから。
お金をいただいているのに文句なんて言えない。
私は悔しくて一瞬出そうになった涙をなんとか堪えた。
ディルック「君は花を送る相手もいないのかい？」
振り返らずともわかる。
聴き慣れた声。
「ディルック様！？いや、これは…」
ディルック「これ、落とし物ですよ」
そう言ってディルックが差し出したのは水に濡れたセシリアの花と蒲公英の種。
ディルック「今日セシリアの花2輪と蒲公英の種一袋を買ったのは貴方だけだ。これ、貴方のですよね？」
それはまさに湖に捨てられたはずの彼女の物だった。
「どうしてこれを…」
彼女は見るからに青ざめてディルックと目を合わせられないようだ。
ディルック「Aが調達から戻ってきた時に様子がおかしかったから、飲み物を買いに行くついでに見てきたんだ」
私、顔に出してないのに…
なんで、わかるの……
私は一旦堪えたはずの涙がまた出るのを必死に我慢した。
ディルック「ここはモンドが誇る花々を、必要な人々に届ける大切な場所だ。冷やかしならご遠慮願いたい」
ディルックははっきりとそう言った。
「、っ…す、すみません。帰ります！」
女性は真っ青だった顔を今度は真っ赤にしてその場から走り去った。
貴方「……ジュースを買いに行くついでに湖まで行ったの？帰ってくるの早すぎない？」
ディルック「……走った」
走ったって…
それじゃ休憩にならないじゃん
貴方「……ありがとう」
私は泣きそうな顔を見られたくなくて、そさくさとアップルサイダーを飲もうと栓を開けた。
案の定ディルックの瞬足に揺られたアップルサイダーは見事に私の顔面に吹き出したのだった……
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ドリアン(プロフ) - 凄く面白かったです、応援してます！ (2022年12月13日 0時) (
レス) @page44 id: f43b62c151 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - いつもイラストが可愛くてニヤニヤしながら見ちゃいます！そしてディルックさんがイケメン…！！ (2021年6月29日 22時) (レス) id: afa275cee1 (このIDを非表示/違反報告)
りー - ディルックさんイケメンすぎて、、！好きです！続き待ってます！ (2021年6月22日 7時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
カリン(プロフ) - 水目桜さん» 水目桜さん、はじめまして！コメントありがとうございます！イラストも褒めていただいて感激です…！頑張って完結まで進めますのでよろしくお願いします！！ (2021年5月11日 9時) (レス) id: 44d3bf4540 (このIDを非表示/違反報告)
水目桜(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませてもらっています(*^^*)ディルックさんの絵もとても綺麗で大好きです！これからも更新頑張ってください！ (2021年5月10日 0時) (レス) id: b42ef5c4d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カリン | 作成日時：2021年4月27日 11時
