美食 3 ページ3
カネキside
あんていくに食事しに来る喰種にとって、今日という日は好都合に近い。
そう思っていたけど……。
「いやあ、助かった〜」
客席にはわしゃわしゃと髪を拭いている女の人。
白い肌がよく目立って、黒髪が光っている様に見えて
雨に濡れているせいもあるのか、僕ではあんまり直視できない……。
それしても、この雨にも関わらずよく外に出ようと思ったな、と言うのが本心だけど……。
「店長〜、飲み物頂戴〜！」
そもそも、この人は人間か？喰種か？
ずっとニコニコしててわからない。
表女の裏、何を思っているのか全く読めない。唯一わかるのは、
店長さんと知り合い”ぽい”ということくらいかな。
彼女が来た途端、店長さんの顔付きが変わったのがわかる。
そして小声で僕に告げた。
”部屋の奥に行きなさい”、と。
どういう意味かまだわからないけど、彼女は何か、危険な部分があるのか重要な何かを握ってるのか……。
僕を別室に移動させたくらいだから、何か秘密があるに違い無い。
そう考えてドアの前で待つことにして、少しの隙間から覗いている。
僕の位置からは
丁度店長が見えないくらいで、彼女の顔が見える程度。
コトッと何か置いた音。
そういえば、さっき飲み物頼んでたっけ。
何を頼んだんだろう……。
「トマトジュース……？」
赤い液体が入っていたコップを一気に飲み干した。
余程喉が渇いていたらしい。
ゴンッ、と雑に空になったコップを置いた彼女の顔は、とても清々しくなっていた。
トマトジュースってことは、人かな……。
「やっぱり美味しいねェ。
”血”ってさ。」
「えっ」
ゴン！！！
「ん？」
「いたた……っ」
血だったのか……。
ちょっと、吃驚して体勢崩しちゃった……。
「お？
お？
お？」
盛大にずっこけた僕を見て不思議に思ったのか彼女が近づいて来た。
待って、凄く恥ずかしい……！
ついには目の前に顔がある距離まで来た。
そうだよ、謝らないとだよ、何やってんだ僕は……！！
「あ、あの、す、すみませんでしっ」
謝罪は最後まで言えず、途中で両頬を掴まれた。
どういうことだ……？
そ、そんなに怒っているのかな……
「ねえ、一口喰べさせて♡」
「あ、えっと……？」
「ダメ？」
え？この人、なんて言った？
「もう一度言うよ。
一口、頂戴よ」
この人は＿
＿＿喰……種。
.
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クロ月夢文楽@ - こんな作者さんに褒められたんですか？！ありがとうございます (2016年9月16日 20時) (
レス) id: d3dd05ed2d (このIDを非表示/違反報告)
栗医務 - 面白いです！更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2016年9月3日 22時) (レス) id: bd621c992d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆつき@雪siro | 作成日時：2016年8月15日 9時
