手芸部2 ページ34
Aは顔を顰め試着室へ引っ込んだ
早く出ていってくれることを願いつつ
柴崎の声に耳をすませば
どうやらAが手芸部に
入っていくのを見ていたらしい
柴崎「隆!どういう事なの?無関係な人は部室への入室禁止って言ってたのに!私には部室への入室を禁止して、なんであの子は良いのよ!!」
三ツ谷が落ち着けようとなだめているが
柴崎は徐々にヒートアップして
一向に落ち着く様子がない
部員達も会話にこそ混ざっていないが
立ったまま遠巻きに篠崎の動向を見守っている
Aは試着室で来ていた服を脱ぎ
運動着に着替える
そして意を決して試着室からでた
A「三ツ谷君、ありがとね。でも、ごめん、顧問の先生に呼ばれちゃって。また明日来るから」
手に持った携帯を三ツ谷に振って見せ
電話が来たことをアピールする
A「あれ?篠崎さんも手芸部に何か用事?」
部室を出ようとして
初めて気付いたと言わんばかりに
篠崎に話しかける
篠崎「ええ、隆に会いに来たの。神楽坂さんは?」
A「私は安田さんに用があって来たの」
ギョッとする安田と三ツ谷にザワつく部員達を
気にもとめずAは柴崎に近づく
そして耳元で恥ずかしそうに囁いた
A「私の好きな人が…お淑やかな女性がタイプって聞いたから。安田さんに裁縫を教わるつもりなの。この後は料理部と華道部にも行ってみるつもりだったんだ」
固まる柴崎から離れ
部室を出ようと柴崎とすれ違う
Aはドアの傍で立ち止まり顔だけ振り返る
A「貴女はこんな所でそんな事してていいの?あと、私文化祭で手芸部のモデルやるの。だから部外者じゃないのよ。貴方と違ってね」
別れ際に万遍の笑みで言ってのけ
さっさと手芸部の部室を離れた
去っていくAの背中と
Aが持つ携帯のストラップを
部室から出てきた篠崎が鋭い視線で睨みつける
そして何も言わないまま
篠崎はAとは反対側に去って行った
ーーーーーーーーーーー
三ツ谷「何やってんだ!バカ!」
部活が終わり待っていた三ツ谷に
開口一番に怒られる
いつも学校で待つことがない三ツ谷が
校庭の隅で待っているのを見て
嫌な予感がしてはいた
三ツ谷「あれほど相手を刺激するなって言ってあっただろ」
A「ご、ごめんなさい」
普段学校で声を荒げない三ツ谷の
怒声に縮み上がるA
そんなAの反応で
ハッとしたように三ツ谷は語気を和らげた
三ツ谷「いや、悪い」
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くらら(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます (2022年6月12日 13時) (レス) id: 10f98cb4da (このIDを非表示/違反報告)
あ - 三ツ矢ではなく三ツ谷です…。作品自体は面白いので少し勿体ないような気がしました🙇♀️💦 (2022年6月12日 12時) (レス) @page5 id: 645db5c9a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらら | 作成日時:2022年5月30日 3時