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貴方side, ページ9

A「んっ………あれ。」

辺りはすっかり暗くなっていた。
どうやら、いつの間にか寝てしまっていたようだった。

ふと顔を上げると、土方さんと目があった。

A「土方さん!大丈夫ですか?」

土方さんはまだ少し顔色が悪かったけれど、ああ、と頷いた。

A「部屋に入ったら倒れているから驚きました。」

土方「悪かったな。迷惑かけちまって。自分の限界くらい分かってるつもりだったんだがな。」

A「迷惑だなんて思ってません!ただ、土方さんがいなくなったらと思うと、怖かったんです。」

私は、つい土方さんの手を強く握りしめていた。

土方「悪かったな、心配かけて。」



A「土方さん。もっと私を頼ってください。」

土方さんは驚いたように目見開いた。

A「出来ることは確かに少ないかもしれません。けど、一人で無理しないでください!………いつか、倒れるんじゃないかってずっと心配してました。土方さんがいなくなるなんて、嫌です。戦場でも、日常のどんなことでも、少しでもいいんです、頼ってください!お役に立ちたいんです!………土方さんのことが、好き、だから。」

うまく言葉がまとまらなかったけど、私は思ったことを口に出した。
なんだか、いっぱいいっぱいになって、私の目からは涙が溢れていた。

土方「ったく、やっぱお前には敵わねぇな。」

えっ、と聞き返す前に私は土方さんに抱きしめられていた。

土方「A、俺もお前のことが好きだ。ずっと前からな。けど、俺は新選組に身を捧げてきた。到底お前のことを幸せになんて出来るはずねぇと思ってた。いつかは、別れなきゃいけねぇ、お前を新選組から出してやったほうがいいと思ってたのによ。お前はずっと新選組にいた。いつか戦乱に巻き込まれて死んじまうんじゃないかと、怖ぇ思いもしてきた。けど、その反面嬉しかった。俺のそばに居てくれて。お前は何も出来ねぇと思ってるかもしれねぇが、俺はお前がそばに居てくれるだけで充分なんだ。俺がここまでやって来られたのは、A。お前のおかげなんだよ。」

A「私、土方さんの力になれてたんですか?」

土方「ああ。」

A「けど、もっと頼ってください。」

わたしは一度土方さんから身を離し、土方さんの目をまっすぐ見た。

土方「ったく、分かったよ。これからは気をつける。」

土方さんは苦笑しながら、そう言った。

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作者名:彗. | 作成日時:2016年10月23日 0時

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